いよいよ夏本番!熱中症にご注意ください

大阪ミナミの飲食店が実践する、新型コロナ感染対策の強化策

道頓堀

新型コロナウイルスの感染対策をどうやって強化しようかとお悩みの飲食店も多いのではないでしょうか。また、どんな対策をしているお店を選べばよいのかもお客様にとって重大事です。お客様目線にたって実効性があって安心感が得られる感染対策が必要です。
 
大阪ミナミの飲食店では「コロナからミナミを復興する商人の会」を立ちあげて、感染対策の強化策に取り組みを開始しています。感染対策は政府や業界団体によって示されているガイドラインが基本となりますが、商人の会では店内で実際に効果をあげるための注意点や実践例をマニュアルにまとめました。
商人の会に参加している戎橋筋商店街の事務局がその内容を紹介します。
 
飲食店を経営している方、働いている方には自店の対策の参考に、またミナミで食事をされる方はお店選びの参考にしてください。ここで紹介している情報は、公的な機関や研究機関の発表を根拠にし、食品衛生の専門家のアドバイスを受けています。
 

目次

飲食店内で対策すべき3つの感染ルートを再確認

対策をご紹介する前に、対策すべき新型コロナウイルスの感染ルートを確認します。
感染ルート
 

対策すべき新型コロナウイルスの3つの感染ルート

まず「飛沫(ひまつ)感染」です。飛沫は「しぶき」とも読みます。テーブルでお客様がお話しする時に口から出る飛沫(しぶき)は1~2メートル先まで届いて落下することがわかっています。せき(咳)は2メートル以上飛びます(※5)。
新型コロナウイルスが含まれている飛沫(しぶき)を吸い込んだり、顔にかかったり、落ちた飛沫にふれるルートです。
 
2つ目に「飛沫核感染」です。1000分の5ミリ程度以下の目に見えない小さい飛沫(しぶき)の水分が無くなりウイルスだけが残る状態を「飛沫核」や「エアロゾル」ともよばれます。空気中の水分にも吸着せずに室内を数時間漂うことがわかっています。これを吸い込むことによる感染ルートです。
 
そして「接触感染」です。お客様やスタッフのからだどうしが触れる、またはドアノブやトイレのレバー、小銭などを介してウイルスにふれてしまい、その手で顔にふれるルートです。
続いて、3つのルートごとに、新型コロナウイルスを抑え込む方法について、事例を交えて紹介します。
 

飛沫感染対策~座席の配置、アクリル板活用の実践方法

4人席の場合に届く飛沫の量は、斜め向かいを1とすると、正面は4、隣どうしは20という計測結果が示されています(※5)。着座する位置を工夫することにより感染リスクを下げることができます。
座席 飛沫の豆知識
 
下の図はテーブルと座席を上から配置図です。緑の線はパーテーションを示しています。
まず、着座する際には必ずスタッフがご案内します。そうすることで、ご家族どうしなどグループの状況や人数によって座席の位置を調整します。お客様どうしが真正面に座らないように座席をずらしたり、透明アクリル板を使用したり、飲食時以外はマスク着用をお願いするといった工夫を行います。
座席 感染対策 座り方
 
透明アクリル板は飛沫(しぶき)がかかるのを防ぐためのものですので、高さはお客様の頭上の高さ以上を確保して効果を高めます。その高さは卓上から70~80センチが目安といわれています。これより20センチ低い場合に飛沫が届く量が10倍になるというデータがあります(※5)。お隣どうしを隔てる透明アクリル板は長めにします(写真を参考に)。
カウンター席では、調理場とお客様の間に飛沫防止フィルムや透明アクリル板を設置し、こちらの卓上にも小さなタイプのアルコール消毒液を置きます。

法善寺横丁 誠太郎

隣との席の間に長めの透明アクリル板を設置した例、すっきりしたデザインで店内の雰囲気にもなじんでいます(法善寺横丁 誠太郎)


お客様が入れ替わるつど卓上を消毒します。消毒している姿をしっかり見て頂くことも、お客様の安心感を高めます。すべてのテーブルに小さなタイプの消毒液を置いておきます。
法善寺横丁 誠太郎

卓上に一人ずつ小さなタイプのアルコール消毒液を置いている例(法善寺横丁 誠太郎)


 

飛沫核(エアロゾル)対策~換気の実践と二酸化炭素(CO2)計測器の活用

換気によって飛沫核を店外に追い出します。2ヶ所以上の窓・扉を空けることによって給気と排気を行うのが換気です。
窓が少ないお店や、エアコン、換気扇がない場合は、調理場の換気ダクト、エアコン、換気扇は常にスイッチをいれておきます。またサーキュレーター(小さな扇風機)をとりつけて空気を窓や換気扇などに向かって送っていきます。サーキュレーターの風がお客様に当たらないように調整をしてください。
また、空気清浄機もしくは加湿器で対応します。湿度は40~60%に保つことにより飛沫が落下しやすくなります(※5)。空気清浄機はフィルターにウイルスが付着しないように洗浄が必要です。窓がない、奥まった場所なども同様の工夫を行います。

飛沫対策

換気により飛沫核(エアロゾル)を追い出すイメージ


法善寺横丁 誠太郎

サーキュレーターを天井近くに置いて店内の空気を添乗付近で換気扇に送って換気を強化している例(法善寺横丁 誠太郎)


道頓堀カラオケパセオ

店内の奥まった場所に加湿付き空気清浄器を置いて換気をおぎなっている例(道頓堀カラオケパセオ)


換気は30分ごとに10分程度行います(※4)。二酸化炭素(CO2)計測器を活用する場合は、数値が上がってきたらお客様にご協力いただいて換気を行います。国が推奨する数値である1000ppm以下(※4)を維持するために900ppm以上に上昇したら窓と扉の2ヶ所を開けます。
  
飛沫対策に二酸化炭素(CO2)計測器を活用する理由は、二酸化炭素(CO2)は吐く息に含まれ、その濃度が高いと、ただよう飛沫の量も多いと考えて、換気を始める目安にするものです。お客様が多い時や奥まった場所は濃度が高くなります。店内のいろんな場所で計測してみて、換気のタイミングやサーキュレーターの設置を考える参考になります。またお客様に見て頂くことで安心感も得られやすくなります。
換気チェック

2方向の扉を開けて店内の換気チェックを行っている様子


  
CO2計測器
  
CO2計測器の価格は計測数値の精度によって異なりますが汎用品は1~2万円前後で市販されています。大きさは10~15センチとコンパクトで、USB端末でコンセントやパソコンと接続するタイプが多く、充電ができるタイプ、電池を使うタイプ、データがスマホに転送されるタイプなど、メーカーによって仕様は多種多様ですので、測る場所や使い勝手を考えて選んでください。この価格帯では精度もプラスマイナス50ppmと幅が広いことから、安全側にみて実際に示されている数値より50~100ppm多いとみておくのがよいでしょう。

接触感染対策~アルコール消毒液の選び方

アルコール消毒液を使う場合の注意点は、アルコール濃度70%以上(95%以下)と記載のある、食品衛生法にのっとり許可されたもの、指定医薬部外品、医薬品のアルコール消毒液を選びます(※4)。容器の裏側などの但し書きを確認します。(60%台のエタノールによる消毒でも一定の有効性があると考えられる報告があります。)
 
アルコール 除菌剤

接触感染のリスクが高い場所がトイレです。感染リスクが最も高い場所はドアノブと水洗レバーです。この場所の消毒作業を怠らないことが重要です。また、アルコール消毒液70%、液体石鹸、ペーパータオルを必ず3点をセットにして置いておきます。また、トイレ内に当店の感染対策を掲示することにより、お客様に安心感やご協力いただく気持ちをもっていただきます。

道頓堀カラオケパセオ

トイレにアルコール消毒液70%、液体石鹸、ペーパータオルの3点をセットでおいている例(道頓堀カラオケパセオ)


道頓堀カラオケパセオ

トイレ内に当店の感染対策を掲示し、お客様に安心感をアピールしている例
(道頓堀カラオケパセオ)


人と触れないためには、お客様やスタッフどうしが距離を確保することが大切です。入店待ちの際には足型マークを設置する工夫はよく見られるようになりました。また支払いの際のお金の受け渡しはトレイを使います。
受け渡し トレー

お客様が入りたいと思うお店のポイントと入店時の対策

店内の感染対策が外から見える、きちんと対策をしていることが伝わると、お客様は入りやすくなります。お店が行っている新型コロナウイルス感染対策の内容や、お客様にお願いしたい事がらを店頭で掲示します。アルコール消毒液を店頭に置くのも一つのアイデアです。

感染症対策

お店の入口に、店内の感染対策の様子がわかる写真を貼っている例
(法善寺横丁 誠太郎)


感染症対策                      
 
新型コロナウイルスが店内に入らないようにするために、お客様やスタッフが入店する時にできる限りリスクを下げること、そのための手間をかけることが大切です。
まず検温はお客様の体調が一番よくわかる情報です。ぜひ協力をお願いします。37.5度以上の方、体調がすぐれない方には入店をお断りします。
 
アルコール消毒液は、本当に使われる位置に置くことが重要です。減り具合を日々チェックし、減っていなければ改善します。必ず使っていただける動線上や高さに置くこと、もしくはスタッフが入店時に手に吹き付けるようにし、一人ひとりが必ず消毒いただくことで、お客様の安心感も高まります。アルコール消毒液では手が荒れるお客様の場合は石鹸液を使っていただくようにご案内します。
道頓堀 クンテープ

お客様が入店時にスタッフがアルコール消毒液を手に吹き付ける様子
(道頓堀 クンテープ)


お客様には原則4人以下でご利用いただきます。そして、店内でのマスク会食(飲食時以外はマスクの着用)や静かに会食いただくこともお願いします。食べる時、飲む時はマスクを外して、おしゃべりする時は戻すという行為は面倒ではありますが、これも新しい生活様式として慣れて頂くことが大切です。
マスクをしていると人にうつさないだけでなく、マスクをしていない場合に比べて体内に到達する飛沫の量が3分の1になり、感染を防ぐ効果があることも確認されています。
道頓堀 クンテープ

料理スペースでの会話禁止とマスク着用を明記している例(道頓堀クンテープ)


スタッフについては、入店時の検温で熱が37.5 度以上や体調がすぐれない場合は、管理職が判断し出勤停止とします。入店後すぐに石鹸を泡立たせ手洗いの後アルコール消毒をします。マスクのつけ方はあごにずらさない、鼻のところにすき間ができないように徹底します。お客様はスタッフの対応を気にして、よくご覧になっています。スタッフルームに感染対策の心得を掲示し定期的に確認をしましょう。
感染症対策 マスク

大阪ミナミの商店街では飲食店の感染対策を強化します

大阪ミナミの道頓堀商店街、宗右衛門町商店街、千日前商店街、戎橋筋商店街は協力して、ここで紹介した対策を、「コロナ対策強化マニュアル 商人によるバージョンアップ版」にまとめて、商店街の加盟店によびかけて取り組みを進めています。その一環として食品衛生の専門家を招いて講習会や、対策をしっかり行っているお店の見学会も行いました。その模様はテレビでも報道されました。

感染症対策

◆NHK
NHK関西NEWS WEB
◆毎日放送
MBSNEWS
◆関西テレビ放送
報道RUNNER

「コロナ対策強化マニュアル 商人によるバージョンアップ版2021/3/23版」
こちらからダウンロードして、感染対策強化に活用ください。なお、対策についての新しい情報がわかれば、マニュアルに反映をして改訂していきます(こちらは2021年3月23日現在です)。
「コロナ対策強化マニュアル 商人によるバージョンアップ版2021/4/1版」はこちらからご確認いただけます。

まとめ

大阪ミナミの飲食店が進める感染対策強化の内容についてお知らせしました。インフルエンザウイルスの研究では、接触感染よりも飛沫感染ルートの方が多いとの結果も示されています。そのため、新型コロナウイルス感染対策実践マニュアルでは換気の方法について詳しく紹介しました。
ワクチンが普及するまでの間、感染対策をしながら営業を続けていけるよう、コロナ禍でも自店を選んでいただけるように徹底した対策を実践していきましょう。お客様もぜひご協力ください。

※参考にしたデータの出典は、(※1)WHO2020、(※2)CDC2020、(※3)日本リスク学会2020、(※4)厚生労働省2020、(※5)理化学研究所、(※6)国際感染症センター、また食品衛生コンサルタントの岡崎和夫氏の指導をいただきました。
※インフルエンザの感染研究報告では接触感染経路が31%、飛沫経路経路は52%(fig.2, Nicas et al., 2009)
※感染対策事例は法善寺横丁誠太郎、道頓堀クンテープ、道頓堀カラオケパセラの各店に協力をいただきました。

道頓堀

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