御堂筋や四つ橋筋など、大阪では南北に伸びる道に〇〇筋といった名前が用いられますが、なんばの中心地に東西に伸びる南地中筋という商店街があるのをご存知でしょうか?
この場所には地元民や著名人が愛する名店が軒を連ねており、わずか約150mという短い商店街の中には多くの人々を惹きつける魅力が詰まっているのです。
そんな南地中筋商店街にある、昔ながらの大阪のグルメやカルチャーが体験できるスポットをご紹介します。
南地中筋商店街とは?
地下鉄14番出口を出てすぐ、御堂筋からなんばHipsを目印にして東側に入ると法善寺横丁まで一直線に伸びる道があります。この道のりが「南地中筋(なんちなかすじ)商店」と呼ばれる商店街があります。
ここには戦後まもなく創業した老舗から話題のカフェなどが立ち並ぶ、略して通称”なんなか商店街”ですが、実は比較的あたらしい商店街なのです。
大阪ミナミの歴史をたどると、その昔は湊町に船着き場(現在の湊町リバープレイス周辺)があり、御堂筋を横断して法善寺への参道として利用されていました。
また道頓堀界隈には多くの茶屋や芝居小屋があったことから、南地中筋を中心としたエリアは江戸時代「難波新地」とも呼ばれおり、当時から多くの人々で賑わっていたそうです。
実は南地中筋が商店街となったのは以外にも2000年代であり、水掛不動でも有名な法善寺までの表参道として利用されている道路美装の計画が持ち上がったのですが、実現するには商店街という組織として申請する取り組みが必要になりました。
その出来事がキッカケとなり南地中筋(なんちなかすじ)商店街が誕生、現在では道路も美装され石畳となり、風情ある法善寺への表参道として多くの方に利用されています。
難波新地について
江戸時代から道頓掘の劇場街とともに発展したエリアです。南地には細かく分けて、五つの花街(宗右衛門町・九郎右衛門町・櫓町・阪町・難波新地)があり、それらを総称して「南地五花街」と呼ばれていました。明治以降は新町や堀江に代わって大阪最大の花街となり、最盛期には芸妓と娼妓を合わせて3000人以上が在籍しており、いまはなき「南地大和屋」(2003年、閉店)が有名です。
おすすめグルメ&スポット
わずか約150mの南地中筋商店街ですが、ここには古くは戦後から地元ミナミで愛される老舗が数多く並んでいます。どれも食い倒れの街を代表するグルメや、大阪難波の文化に触れることができる名店ばかりですが、今回はその中のごく一部をご紹介します。
アラビヤコーヒー(珈琲専門店)
1951年に創業した老舗の喫茶店は地元では知らない人はいないほどの人気店。2021年で70周年を迎えるという歴史のある喫茶店です。
店内の様子はまさに純喫茶のイメージを彷彿させるクラシカルな内装で、カウンターで使われているイスは先代オーナーがテーブルを改造して製作したものが使用されています。
歌舞伎や歌劇、漫才といった芸能が公演されていた劇場街・道頓堀にほど近いこともあり、出番前の腹ごしらえとして来店する芸人さんや、法善寺にお参りする度に来店される歌舞伎役者など多くの有名人が来店されることもあるそうです。
先代マスターの時代からいつしか著名人が集まるお店となり、世代が交代してもアラビヤコーヒーの魅力が引き継がれ、今なお愛され続けています。
そのことが口コミで広がり、著名人が東京などから大阪に来るたび通うほどの愛してやまない味であり、テレビや雑誌でオススメされることでも有名。ファンの方々が聖地巡礼で訪れることも。
多彩なメニューのなかでも、看板メニューのコーヒーはブラジルやコロンビアなど数種類の豆から選ぶことができ、ドリップされコーヒーは華やか香りや特徴ある苦味を楽しむことができます。
また、人気メニューの「アラビヤサンド」は、お土産や楽屋への差し入れでよく注文が入るほどの人気メニューです。ふわふわの厚焼きタマゴをカリッと焼いたパンで挟んだ、大阪では親しみのある昔ながらのたまごサンドが特徴的ですので、他府県の方には少し珍しく見えるかもしれません。
こだわりのコーヒーを飲みながら、著名人が愛してやまない味を一緒に堪能することで、贅沢なひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。
店名/アラビヤ珈琲店
住所/大阪市中央区難波1‐6‐7
電話番号/06-6551-1054
営業時間/10:00~19:00(年中無休)
※現在は営業時間短縮の為、12:00~18:00(10月より土日祝は10:00~18:00)の営業です。
総席数/50席(カウンター7席、テーブル43席)
公式ホームページ
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公式オンラインショッピングサイト
二色(串かつ・居酒屋)
「安い・美味しい・早い」の三拍子そろった、食へのこだわりが強い地元民に愛され続ける名店。
創業は戦後すぐの1949年(昭和22年)。2020年で71年目を迎える、なんばエリアでも老舗です。
串かつ1本、おでん1個が110円から楽しめる大衆酒場ということもあり、地元の常連客から出張で来阪したサラリーマンの一人呑みなど客層はさまざま。古きよき昭和の大衆居酒屋の雰囲気を感じさせる店内は、年配の方には懐かしく、昭和の雰囲気を知らない若い方には新鮮に感じられます。
名物の串かつは一本110円からとかなりリーズナブルな価格です。
安いからといって具材が痩せていて衣が分厚いというわけではなく、二色では「身のある串かつ」にこだわっていて、衣が薄くあっさりと素材そのものの美味しさを楽しめます。
一番人気はお客様のほとんどが注文するというチーズとアスパラ。はじめての来店でどれにしようか悩む方は、定番人気のロースやえび、いか、玉ねぎなどの串かつがセットになった「定番人気セット」がおすすめです。
また、11月頃~3月頃にかけては、女将さんこだわりの季節限定の串かつメニュー「牡蠣」が登場します。
生食でも食べられる岡山県の日生(ひなせ)町で獲れた「日生かき」を使用。瀬戸内の豊かな海で育った「日生かき」は、身はプリっと味わいは濃厚で、ソースももちろん美味しいそうですが、塩で食べるのがおすすめとのこと。毎年心待ちにしている常連さんも多い人気メニューです。
ほかにも鳥湯豆腐やどて焼き、おでんといったお酒の肴にぴったりの人気メニューも豊富に取り揃えられています。
たくさんのお客様で賑わう大阪らしい店内で、長年愛され続ける名店の味をお楽しみください。
店名/串かつ 二色
住所/大阪市中央区難波1-6-10
営業時間
平日/16:00~23:30(LO.23:00)
土日祝/13:00~23:30(LO.23:00)
※閉店時間はその日の状況によって異なる場合があります。
定休日/火曜日、月末2週間手前の月曜日(※祝日の場合も休業)
電話番号/06-6213-2248
全席禁煙
一心一味 法善寺 茂(創作和食)
南地中筋商店街にお店を構えて8年目の人気店。お店は地下にあり、ゆったりと落ち着きながら過ごせる大人の隠れ家のような雰囲気が魅力です。
店内にはカウンターとテーブル席があり、席間もゆとりがあるので、はじめて訪れる方も周囲を気にせずリラックスして食事を楽しめます。
お料理は創作和食を中心に、様々なお店で修業を積んだ店主がつくりだすお料理には、厳選された新鮮な魚介や旬のお野菜を使用しており、時折、大阪は泉南エリアで店主自ら釣った魚を使ったメニューが提供されることも。
お客様からのリクエストに応えながら増えていったというメニューは、季節によっても異なりますが、約50種類とバラエティー豊富に取り揃えられています。女性に人気のタンシチューなど、和洋中のジャンルにとらわれないメニューもお店の魅力ひとつです。
定番人気のお造りの盛り合わせは、魚介の鮮度はもちろん、種類によっては昆布でしめたり、お酢でしめたりと魚のうまみを引き出すことにこだわられており、食材の美味しさを存分に味わうことができます。
季節を感じるお料理に合う、種類豊富なお酒もありますので、お酒がお好きな方はお料理とのマリアージュが楽しめます。
また、法善寺というと高級なイメージが強いですが、上質なお料理をリーズナブルな価格で楽しめるのも嬉しいポイント。普段使いはもちろん、大切な方との食事や家族での利用など様々なシーンにおすすめのお店です。
桃酔(居酒屋)
南地中筋商店街にはお店を構えて16年、こちらも地元の方を中心に人気を集める創作料理と地酒が楽しめるお店です。
ビルの2階にある店内にはカウンター席とテーブル席、座敷席があり、落ち着いた雰囲気で居心地よく過ごせます。
こちらの魅力はなんといってもメニューの豊富さ。近海の天然魚を中心に、旬の魚介料理をはじめ、黒毛和牛や薩摩地鶏などのお肉料理、季節の地野菜を使ったお料理や鯨や鴨のはりはりといった小鍋料理など、とにかくメニューのラインアップが豊富です。
お料理に合うお酒を取り揃えており、お料理はもちろん地酒も季節によって2~3種類変更されるので、何度も通いたくなること間違いなしです。ほかにもお酒にあう地方の珍味や、ぞうすいやにゅうめん、季節の押し寿司などのご飯メニューも充実しています。
奇をてらったものではなく、すべてのお客様が楽しんでいただけるようにと、なじみのあるお料理メニューを取り揃えられているので、老若男女問わず食事が楽しめます。こちらも上質なお料理をリーズナブルな価格で楽しめるのも嬉しいポイント。
難波エリアによく来られる方は、ぜひ知っておきたいお店です。
kokopelli(アメリカンダイナー・ビアバー)
南地中筋商店街に2011年にオープン。アメリカ帰りのフレンチ料理を修行した店主がつくる、ジャンクフードのイメージを払拭する絶品グルメハンバーガーとクラフトビールが味わえるお店です。
注文を受けてから一枚一枚丁寧に焼かれるジューシーなパティ―は、自然環境で放牧され、肥育飼料を使わず牧草のみで飼育された赤身が多くお肉本来の味わいや香りが楽しめる「グラスフェッドビーフ」を使用し、ミンチひと粒ひと粒の大きさまでこだわり、丁寧に処理をした上で赤身9割+和牛脂1割を配合して作られています。
ココペリのハンバーガーにはケチャップやマスタードは入っておらず、こだわりのパティ―とたっぷりの国産野菜を有名な南堀江のパン屋「ホットクロス」特製のふわっと軽い食感のバンズではさんだハンバーガーは、絶妙なバランスで素材本来の美味しさが楽しめます。
お店のNO.1人気メニューは、ベーコンチーズバーガー。お肉の美味しさががっつり楽しめるパティ―とフレッシュな野菜、そしてチーズと自家製ベーコンの塩味とすべてが調和し、食べ応え抜群です。
ハンバーガーと一緒に楽しみたい箕面ビールをはじめ、クラフトビールは約35種類そろっています。もちろんハンバーガー以外にも、バラエティー豊かな一品料理やビールをつかったピクルスなどがそろっています。ハンバーガーのみテイクアウトも可。四季折々の旬の素材でつくるマンスリーバーガーも要チェックです。
珍しいビールと、ファストフードではないスローフードアメリカンを味わいに行きましょう。
店名/kokopelli(ココペリ)
住所/大阪市中央区難波1-6-5 TMビル1F
営業時間
ランチ:12:00~15:00(L.O.14:30)
ディナー:18:00~24:00(L.O.23:00)
定休日/ 月曜日 ※月曜日が祝日の場合、祝日明け休み
電話番号/06-7502-3757
公式ホームページ
上方浮世絵館(美術館・和雑貨)
法善寺・水掛不動尊(みずかけふどうそん)の山門前に、世界で唯一上方(現在の京都付近・関西地方)の浮世絵を常設展示する美術館「上方浮世絵館(かみかたうきよえかん)」があります。
上方の浮世絵は、歌舞伎芝居の役者たちを描いたものが多く、芝居街として名を馳せた道頓堀の芝居小屋を中心に上方で上演された舞台を、浮世絵を通して見ることができます。
上方浮世絵館は4階建てになっており、1階は浮世絵にまつわるグッズを取り揃えたミュージアムショップ、2階~3階が展示室になっています。
4階はイベントフロアになっていて、浮世絵制作のほかスペースレンタルとしても使用されており、作品展なども開催されています。
浮世絵制作体験は初級、中級、上級と選べます。こちらは公式ホームページで確認して、3日前までに予約が必要です。
完成品は持ち帰ることができますので、大阪に遊びに来られた際には観光プランのひとつとしてもおすすめです。
当時の大阪の文化や流行なども学ぶことができ、浮世絵を通してなんばの魅力についてより深めることができますので、南地中筋商店街を訪れた際にはぜひお立ち寄りくださいね。
施設名/上方浮世絵館(かみかだうきよえかん)
住所/大阪市中央区難波1-6-4
開館時間/11:00~18:00(入館は17:30)
休館日/月曜日(休日の場合は翌日)
お問い合わせ/06-6211-0303
上方浮世絵館公式ホームページ
ぶらり探索するなら身軽になろう
南地中筋商店街でまち歩き観光を楽しむなら、近くにあるコインロッカーに荷物を預けて身軽になりましょう!もしなんば駅周辺で空きがなければ、交差している戎橋筋商店街のネットカフェ入口付近にあるコインロッカーが穴場です。
この場所なら周囲への観光はもちろんのこと、ショッピングで手荷物が増えたときにも気軽に利用できて便利ですので、ぜひ活用したいところです。
あわせて読みたい:大阪メトロなんば駅のコインロッカー徹底解説
アクセス
地下鉄御堂筋線(四つ橋線)なんば駅の14番出口を出てすぐ、なんばHipsとファミリーマットの間にある道が南地中筋商店街の始まりです。
途中で戎橋筋商店街と交差していますが、横断してそのまま直進します。
表参道でもある南地中筋商店街は法善寺の手前で終了です。
まとめ
南地中筋商店街ではこれまでに近くの法善寺横丁と一体なっての夏祭りやイベントも開催していたこともあり、地域の方々だけでなく著名人や観光客にも人気のエリアです。
グリコの看板がある道頓堀や、商売繫盛や縁結びといった願い事の手助けをしてくれる法善寺の水掛不動尊のすぐそばですので、大阪ミナミにお立ち寄りの際は古くも新しい、この場所でしか味わえないグルメやライフスタイルを感じてみてはいかがでしょうか。
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関西を拠点に取材ライターとして活動中。
イベント取材やお店の魅力を紹介したり、コラム記事を書いたり。
足で稼いだ大阪ミナミのお役立ち情報を発信します!