法善寺は大阪ミナミの繁華街から一歩路地に入った場所にあります。繁華街の喧騒とはうって変わって、静かでなにわ情緒漂う雰囲気が魅力的です。
法善寺というと「水掛け不動さん」の名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。その名の通り、水を全身に浴びコケに包まれたお不動さんがいらっしゃいます。

今回は、法善寺の副住職さんにお話しを伺い、その水掛け不動さんに「なぜ水をかけるのか?」という疑問やいきさつ、そして法善寺のご利益や歴史、御朱印などを紹介しています。
法善寺に興味がある方や参拝方法を知りたい方、またなんばエリアの観光スポットを探されている方や御朱印巡りをされている方はぜひ参考にしてくださいね。

法善寺とは?

法善寺

法善寺とは浄土宗の寺院で、山号は天龍山で本尊は阿弥陀如来(あみだにょらい)です。正式名称は「浄土宗・天龍山・法善寺」といいます。
大阪に住まう方やご先祖さまの供養をされる方はもちろん、観光で訪れる方も多いです。また、法善寺横丁内で商売をされている方も商売繁盛を願って参拝に来られます。
仕事前にも立ち寄れたり、法善寺横丁内で飲んだ方が夜中に参拝できたりと、24時間いつでも参拝ができるのが法善寺の魅力のひとつで、どの時間に立ち寄っても大阪の雰囲気を味わえるあたたかい場所です。

法善寺には、水掛け不動さん以外にも諸堂がいくつもあるのが特徴です。次に詳しく紹介していきますね。

水掛不動尊(西向不動明王)

法善寺

水道水ではなく、井戸水をかけることで苔むす御姿になっています。

「水掛不動尊(水掛け不動さん)」と呼ばれる法善寺の”西向不動明王(にしむきふどうみょうおう)”は、あざやかな緑のコケに包まれた珍しい姿をしています。
400年の歴史をもつ法善寺ですが、実は「水掛け」の歴史は浅く戦後に始まったものです。ある日、法善寺に一人できた女性がお供えものであった目の前の水をすくい、お不動さんにかけたことから始まっています。「願いを叶えてほしい」と仏さまにすがる女性の強い想いが、今日まで続く「水掛け」の発祥といわれています。
コケに包まれ綺麗な緑色になった姿を見れば、たくさんの人達が水をかけて願いを込めてきた歴史の長さを感じられますね。

すべての命の源である「水」を全身で受け止めてくれているお不動さんは、いつも私たちの祈る姿を見守り続けてくれています。
また「水を掛け、願を掛け」といわれるように、すべての願い事を手助けし、後押しし、正しい方向へと導いてくれます。

参拝方法について

水掛不動尊
法善寺 副住職

法善寺 副住職さん

「観光で来られた方など水のかけ方がわからない方やどう参拝したらよいのか迷われている方には、通りすがりの地元の方が参拝方法を教えてくれるという特徴がある場所です。人情の町・大阪のあたたかい人柄やご縁に触れることができるのが法善寺の魅力ですので『こうしなければいけない』という参拝のマナーはありません」と、副住職さんに教えていただきました。

しかし、副住職さんの参拝方法も気になりますので伺ったところ「住職は、まず水で手を清めてから真ん中のお不動さんに3回水を、その次に手前の右の童子さんに1回、左の童子さんに1回、最後にもう一度お不動さんに1回水をかけます。しかし、法善寺でのご縁やあたたかい人柄も感じて欲しいので参考程度にしてくださいね」と、答えてくださいました。

法善寺

水掛け不動さんの下には、水が入ったバケツが置いてあります。
水をかけ参拝をされたあとバケツの水が空になっていたら、次に参拝される方のために左隣にある井戸で水を汲む習慣があるそうです。
もちろん観光客や地元大阪の方でもこの習慣を知らない方もいるのですが、たいていバケツに水が入っているそうで、地元の人のあたたかさが感じられます。

法善寺

伺ったときに丁度1つのバケツが空いていたので、井戸で水汲みをチャレンジしました。人生初の水汲みでしたが、意外とスムーズに汲めました。次の人がこの水を使って参拝してくれると思うと、私もなんだかほっこりする時間を味わえました。

井戸がある場所も珍しいので「トトロだ~」といって楽しむ子どももいるそうです。バケツに水が入っていない時はぜひチャレンジしてみてくださいね。

ご利益

病気平癒

自身の治したい身体の部分に願掛けのお水をかけると、病気や煩悩などを退治するご利益があります。

商売繁盛

”水”を掛けるお不動さんですので、水をかけると水商売のご利益があります。

縁結び

両脇の矜羯羅童子(こんがらどうじ)と制吒迦童子(せいたかどうじ)を男女にみたてて優しく水をかけると素敵な出会いがあるでしょう。

先ほども紹介しましたが、水掛不動尊は「水を掛け、願を掛け」といわれるように、すべての願い事を手助けし、後押しし、正しい方向へと導いてくれます。

金毘羅堂(こんぴらどう)

法善寺

四国香川県が本拠地で有名な金比羅さま。
もともとは京都の宇治に創建されましたが、寛永14年(1637年)に現在の大阪に移転してきました。
また「どうして大阪の街に金毘羅さんが?」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、昔のなんばは港町だったのです。海がすぐそばにあった時代「難波(なんば)」は文字通り海が荒れることで有名でした。そして当時の人々は、海上交通の守り神である金毘羅天王を祀り、安全な航海・大漁を祈願したのだそうです。
現在では、交通安全や商売繁盛の神さまとして大切に祀られていて、今も昔もなんばを守ってくださっています。

ご利益

交通安全、商売繁盛

二河白道堂(にがびゃくどうどう)

法善寺

水掛不動尊の南側に隣接する二河白道堂は法善寺の新たな祈りのスポットです。
浄土宗の教えでは、この世(此岸)での命を終えた後は、阿弥陀さまやご先祖さまの極楽浄土(彼岸)へと向かうそうです。この「二河白道」は私たちがこの世からあの世へ往生する様子をと例えたお話をもとにした場所です。二河白道堂は中国の高僧である善導大師(ぜんどうだいし)が1300年も前に説いた二河白道の世界観を立体的に表現しています。

法善寺 法善寺

二河白道堂を通り抜けた先に立つ「南無阿弥陀仏」の石柱が私たちの目指す極楽浄土です。
ここへ向かうには、お堂の真ん中に一筋の白道しかありません。なぜならば、右の河は執着の心(欲に流されると表すことから水の河) 左の河は怒りや憎しみ(憎しみは燃え上がると表すことから火の河)と表現されているからです。
私たち人間は煩悩が多いため、危険がすぐ側にある細い道を前にして進むことに悩んだり、恐れたりしてしまいます。そんな時にお釈迦さまは「安心して行きなさい」と後押ししてくれます。また阿弥陀さまは「信じて来なさい」と声をかけてくれるのです。

法善寺

副住職さんに教えていただいたのですが、「法善寺に来られた方は、二河白道堂のお堂の真ん中にある白道の上を真っ直ぐ歩くことをチャレンジしてください」とのことです。
コツは真正面にある「南無阿弥陀仏」の石柱を見ながら歩くと真っ直ぐ進みます。しかし、先ほど紹介したお話しのように途中で不安を抱いて下を向いて歩いてしまい白道から外れてしまう…と、いったように意外と難しいのです。
お堂の左右には、声の主であるお釈迦さまと阿弥陀さまが微笑みかけて応援してくださいますので、ぜひ挑戦してみてくださいね。

お初大神(岡山最上稲荷)

法善寺

日本三大稲荷の1つである岡山最上稲荷大明神をお祀りする小さな社が境内にあります。
ご利益は商売繁盛・五穀豊穣であり、地元の人からは「お初大神」と呼ばれ身近なお稲荷さんとして親しまれています。

ご利益
商売繁盛
五穀豊穣

慈悲地蔵尊(じひじぞうそん)

法善寺

平成14年(2002年)9月と翌15年(2003年)4月に発生した法善寺横丁の火災は、法善寺全体や周辺の店舗にも大きな被害を与えました。この時に千日前の地域を愛する多くの方、また署名の数30万人以上の人々の「このままの風情を守りたい」という想いのおかげで、以前と変わらない景観と活気が戻りました。
最初の火災から2年後の平成16年(2004年)9月9日には法善寺の北側の路地に「慈悲地蔵尊」が建立されました。
法善寺横丁の復興に際して寄せられた”慈悲”に対する感謝が詰まっているお地蔵さまです。法善寺や法善寺横丁に関わるすべての人々の興隆と安全を願い、いつも優しいまなざしで見守ってくれています。

法善寺の御朱印・お守り

法善寺

境内の寺務所で御朱印(300円)をいただけます。水掛不動尊・お初大神・金毘羅大王と神仏習合(しんぶつしゅうごう)で書いていただけます。

法善寺 法善寺

水掛け不動さんのご利益のように法善寺のお守りはどんな願いごとでも叶えてくれます。カラーが5種類から選べますので、どのお守りを買おうか悩まれている方は寺務所にいる方にぜひお声かけくださいね。
また、絵馬も購入できます。お正月の時はもちろん、受験生の方や就職活動中の方、また安産などのお願いことをしたい時にはぜひご利用ください。

法善寺 法善寺

「仏さまと縁を結ぶ」といった想いが込められたオリジナルのお守りも法善寺では作ることができます。
仏さまに自分オリジナルで色を塗り、それをお守りとして持ち運べるようにしてくれます。
七五三の時に両親が健康を願って子どもに作るといった方や、大阪観光に来た記念にという方、また自身の願いを心に思いながらお守りを作る方など、さまざまな方が利用されます。

法善寺の歴史

法善寺

水掛不動尊の愛称で親しまれている「浄土宗天龍山法善寺」のはじまりは1620年代後半~1630年前半にまでさかのぼります。当時の法善寺は山城国宇治郡北山村(現在の京都宇治市)にありましたが、後を継いだ大和国(現在の奈良県)出身の仲誉(なかほまれ)専念法師が「金毘羅天王墾伝」の故事に基づいて現在地への移転を決意しました。その後、大阪なんばに法善寺が完成したのは寛永14年(1637年)です。

法善寺一帯の地域が「千日前」と呼ばれるようになったのは専念法師が行った「千日念仏回向」が由来となっています。江戸時代のなんば近郊は、死者の焼き場・墓地・刑場などが集まる地でした。専念法師は、刑に処された人や埋葬された人々を供養するために、千日間にも及ぶ念仏回向を務めたのが今の「千日前」と呼ばれるようになったキッカケです。

また法善寺は開創以来、火災や戦災を何度も経験しています。文政2年(1828年)、嘉永5年(1852年)、また第二次世界大戦中の昭和20年(1945年)3月13日には、六道伽藍(ろくどうがらん)の全てが焼失しました。しかし、焼け野原の中に水掛不動尊のみが残っていたのです。それが前述でお伝えした「水掛け不動さん」のはじまりです。

終戦から15年の間に「金毘羅堂」「庫裏(くり)」を再建しましたが、本格的な「本堂」に建て替えまでには至りませんでした。そこで当時の住職は、縁を結んでいた同じ浄土宗寺院の長圓寺(天王寺区生玉寺町)に、本尊の阿弥陀如来像を移すことを決めます。以来、長圓寺は「法善寺別院」となりました。
平成21年(2009年)9月には本格本堂の再建計画に先駆けて「二河白道堂」が完成。25年(2013年)10月には「金毘羅堂」「お初大神」の修復が完成し、今の法善寺の姿になったのです。

年中行事

毎月28日はお不動さんのご縁日(水掛不動明王護摩法要)
19:00~21:30
護摩供養料/500円・300円
開運厄除・家内安全・商売繁盛・病気平癒・交通安全・縁結び
今を生きる全ての人の願いを込めて「たのんまっせ」とお不動さんにお祈りする日です。

1月/正月護摩・獅子舞奉納
2月/節分会
4月/花祭り(釈尊降誕会)
8月/法善寺祭り・地蔵盆
10月/金毘羅大祭

年間行事である10月の金毘羅大祭は地元の方でも知っている方が少ない穴場の行事です。
毎年10月の9日・10日に開催され、金毘羅さまで法要をします。この時に落語・マジック・ミュージックイベントなどもしており、通りすがりの方でも楽しめるイベントになっています。
詳細は、ぜひ公式のホームページでチェックしてくださいね。

アクセス

1、なんば駅下車後なんばウォークB12出口にでます。

法善寺

2、左手に「戎橋筋商店街」が見えますので、アーケードのなかに進みます。

法善寺

3、そのまま「戎橋筋商店街」を少し直進します。

法善寺

4、右手に「カラオケ館なんば戎橋本店」が見えますので右折します。

法善寺

5、入り口に「法善寺水掛不動尊表参道」がでてきますのでそのまま直進します。

法善寺

6、そのまま直進すると突き当たりに「法善寺」の入り口が見えてきます。

法善寺

詳細情報

施設名/浄土宗 天龍山 法善寺
山号/天龍山
寺号/法善寺
通称/千日寺・水掛不動
宗旨/浄土宗(総本山知恩院)
開創/寛永14年(1637年)
開山/専念法師
本尊/阿弥陀如来・西向不動明王・金毘羅天王・お初大神
札所/大阪新四十八願所阿弥陀巡礼 第48番
住職/第30世 亮誉 眞晃
住所/大阪府大阪市中央区難波1-2-16
電話番号/06-6211-4152
参拝時間/24時間
水掛不動尊・金毘羅天王・お初大神・二河白道堂へのお参りは24時間いつでも可能です
授与所受付時間/8:00~23:00
御朱印・お守り・お数珠・絵馬・おみくじ等をお求めの方は上記の時間にお願いします
公式サイト

まとめ

「法善寺ってこんなに諸堂があるなんて知らなかった」という方や、自由に参拝していいということも知らない方も多かったのではないでしょうか。
私も知らなかった1人で、今回法善寺の副住職さんにお話しを伺うことができ、詳しく知ることができました。法善寺の魅力である人と人とのご縁を一番に大切にしているということが伝わったら嬉しいです。
法善寺は24時間いつでも参拝ができますので、なんば周辺に来られた時にはなにわ情緒を味わいに一度足を運んでみてくださいね。