大阪・ミナミの観光名所のひとつであるなんばグランド花月の向かいにあるビルの7階に大阪府立上方演芸資料館(通称・ワッハ上方)があります。「笑い」をテーマに、落語や漫才、講談、浪曲など大衆演芸の魅力をさまざまな展示を通して楽しめる、全国で唯一の資料館です。
この記事では、大阪在住の人でも知らない方も多い上方演芸とは?という素朴な疑問から、ワッハ上方で楽しめる多彩なコンテンツをご紹介しています。
大阪観光の立ち寄り先を探している方はもちろん、校外学習や修学旅行先などの学びの場としてもおすすめですので、ぜひ参考にしてみてください。
上方演芸(かみがたえんげい)とは?
「上方演芸」とは京都・大阪を中心とする「上方」で演じられる演芸のことです。
吉本興業創業者の吉本せいをモデルとしたNHKの朝の連続テレビ小説「わろてんか」でも取り上げられていたので、ご存知の方も多いかもしれません。
「上方」とは、京都および近畿地方を指す言葉で、「上」は皇居のある方角を指すことから、明治以前まで御所のあった京都に敬意を表した呼び方です。
「演芸」とは、大勢の人が気軽に楽しめる芸能で、現在では落語・漫才・講談(こうだん)・浪曲(ろうきょく)といった大衆芸能を指します。1688年の元禄時代からはじまったとされる上方演芸は、公家や町人を中心とした京都・大阪の生活文化を背景に発展してきました。現在も漫才をはじめ、お笑いはテレビなどメディアで見ない日はないほど、私たちの生活に密着した娯楽です。
ワッハ上方は、そんな上方演芸の魅力を、写真パネルや実際に演者が使用した舞台道具などの展示を通して、わかりやすく学ぶことができます。
ワッハ上方について
「上方演芸の保存及び振興を図るとともに府民に上方演芸に親しむ場を提供し、大阪文化の発展に資する」という目的で1996(平成8)年11月にオープン。
「笑い」をテーマにした全国唯一の上方演芸資料館で、多彩な展示にもかかわらず入館料無料ということもあり、地元府民をはじめ国内外の観光客にも親しまれてきました。
正式名称は大阪府立上方演芸資料館で、愛称の「ワッハ上方」は公募で選出されたそうです。
2019年4月にリニューアルオープン。展示スペースを拡大するとともに、高座に上がって撮影できるスポットやワークショップなど体験型の展示を増やして、これまでの「学ぶ」というコンセプトの展示に加えて、さらに上方演芸の魅力に触れられる展示内容になっています。
ワッハ上方の見どころ
エレベーターが開くと、落語家の桂文枝師匠の「いらっしゃーい」という動画でお出迎え。常設展示エリアの入口前には、「上方演芸の殿堂入り名人」の紹介コーナーがあります。
上方演芸の発展と振興に特に大きな役割を果たし、広く大阪府民から愛し親しまれた方で、後進の目標となる演芸人を「上方演芸の殿堂入り名人」として表彰し、これまで58組94人が殿堂入りしていて、時代を代表する演芸人の方々の功績や魅力を後世に伝えるべく、ワッハ上方で展示しています。
イラストを手がけるのは、イラストレーター成瀬國晴先生。戎橋筋商店街に隣接する旧精華小学校にも通われていたそうで、大阪・ミナミに縁の深い方です。
常設展示エリア
常設展示エリアでは、上方演芸の写真や図を交えた歴史年表が壁一面で紹介されています。
大阪弁の説明展示には、チャンバラトリオのハリセンやパネルをつかって、ユーモラスあふれるキャプションとともに解説されています。
上方演芸のポスター展示は、各プロダクションの協力で貴重な公演ポスターが展示されています。古いものでは、明治時代のものがあり、演芸文化が栄えた大阪・ミナミの街の歴史を感じることができます。
在阪放送局の協力で特別提供された、過去テレビやラジオ等で放映された演芸番組を自由に観ることができます(※館内視聴に限る)。
資料数はおよそ3000本あり、古くは昭和30年代頃のものまであるのだとか。現在活躍されている吉本芸人さんも、勉強のために来館されることもあるそうです。
企画展示エリア
企画展示は、施設の担当者と上方演芸に造詣の深い有識者会議によって企画され、半年ごとに展示替えされます(※新型コロナウイルス感染症の影響により展示期間は随時変更される場合があります)。
本業をのみならず、アートの分野でも才能を発揮する演芸人さんの作品を紹介する企画展「芸人さんは多才だ!」展は、さまざまな角度から上方演芸の魅力はもちろん、演芸人の方への理解を深めることができる展示会が開催されています。
体験エリアとワークショップ
体験エリアでは、無料で羽織など衣装を借りて高座に座れる演芸ステージや、2018~2019年のM-1ファイナリストと合成で写真が撮れるフォトスポットなどが登場。フォトスポットでは、QRコードを読み取れば自分のスマートフォンに保存できますので、来館の思い出におすすめです。
ワークショップは第1、第3の土・日曜日に開催されています。漫才のボケとツッコミを体験したり、浪曲のいろはを学んだり、落語の所作や講談の小道具づくりまで、プロの演芸人さんが上方演芸の魅力を楽しく教えてくれます。こちらも参加費は無料なので気軽に参加することができます。
演芸に興味があっても、なかなか寄席や劇場に行きにくいという方におすすめです。
展示室を後にした通路も見逃せません。
赤ちょうちんが何ともレトロな雰囲気の帰路は、隠れたフォトスポットです。
リニューアルを記念して、イラストレーターの黒田征太郎さんが笑いをモチーフにデザインを手がけたのれんも飾られています。
感染拡大防止の取組み
昨今の社会情勢を鑑み、ワッハ上方では、館員の健康管理や館内の清掃、消毒を徹底し、検温・アルコール消毒の実施や受付での飛沫防止パネルの設置、大阪府コロナ追跡システムの掲出など感染症対策に取り組んでいます。
来館される際には、マスクの着用やソーシャルディスタンスの確保、アルコール消毒液による手指消毒などご協力ください。
施設詳細
施設名/大阪府立上方演芸資料館(ワッハ上方)
住所/大阪市中央区難波千日前12-7 YES・NAMBAビル 7階
開館時間/10:00~18:00 (映像・音声の受付締切りは17:30)
休館日/毎週月曜日(祝日の場合は翌平日が休館日) 年末年始(12月29日~1月3日)
電話番号/06-6631-0884
入館料/無料
公式ホームページ
公式Twitter/大阪府立上方演芸資料館(@WKamigata) / Twitter
公式Instagram/大阪府立上方演芸資料館 (@wahha_kamigata)
公式Facebook/ワッハ上方(大阪府立上方演芸資料館) | Facebook
まとめ
全国で唯一の演芸資料館「大阪府立演芸資料館(ワッハ上方)」をご紹介しました。
収蔵資料を活用した常設展示や、これまでにない視点から上方演芸を紹介する企画展示をはじめ、貴重な映像資料や上方演芸を学んでいただけるワークショップなど、幅広い年代に親しんでもらえるように工夫された展示が魅力です。
各線なんば駅からもアクセスがよく、周辺にはなんばグランド花月や道具屋筋商店街など観光スポットも多数ありますので、観光の立ち寄り先やおでかけ先のひとつとして、ぜひワッハ上方で大阪が全国に誇る「笑い」の文化に触れてみてはいかがでしょうか。
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