大阪・なんばエリアには小説や歌、映画やドラマの舞台としても有名な人気グルメスポット「法善寺横丁」があります。
東西に伸びた2本の路地に、老舗割烹店や小料理屋、バー、B級グルメなど50余りのお店が軒を連ねているのが特徴です。

今回は、その法善寺横丁内にある創業約140年の老舗甘味処「夫婦善哉(めおとぜんざい)」をご紹介していきます。
法善寺・水掛不動尊のとなりに位置し、文豪・織田作之助の小説の舞台としても知られ、大阪のガイドブックには必ずといって良いほど取り上げられる有名店です。

夫婦善哉に長年お勤めの名物店長より子さんに、夫婦善哉の魅力やお店で提供するこだわりの善哉メニューついて、大阪・なんばになかなか足を運べない方に嬉しいオンラインショップの情報、また「夫婦善哉」がなぜ全国に知られるようになったのか?など、詳しく聞いてきました。

「夫婦善哉」の名前は聞いたことがあるけど詳しく知らない方や大阪の観光スポットを探されている方、また作家や作品の聖地巡りをしたい方などに参考になりますので、ぜひ最後まで楽しみながらチェックしてくださいね。

夫婦に見立てた、大阪商人らしい甘味処

法善寺 夫婦善哉

外観

夫婦善哉の創業は1883(明治16)年で、文楽の太夫(人形浄瑠璃の語り手)である竹本琴太夫こと「木文字重兵衛(きもんじじゅうべえ)」という人が「お福」という屋号で始めた善哉がメインの甘味処です。

法善寺 夫婦善哉

2つのお椀

善哉といえば、1人前を1つのお椀で提供するのが一般的ですが、夫婦善哉では1人前を2つのお椀で提供する少し変わったスタイルが特徴的です。

創業当時、善哉を注文したお客さんが「なぜ分けて出しているのか?」を尋ねたところ、重兵衛の奥さんは「おおきに。めおと(夫婦)でんね」と答えたそうです。
実際には、「1人前を2つのお椀に分けて出した方がたくさん入ってお得に感じるから」という大阪の商人ならではの発想でしたが、「夫婦円満や商売繁盛する縁起物の善哉」という口コミが広がり、のちに、夫婦に見立てた善哉を提供するスタイルから「夫婦善哉」という屋号に変え、“縁起物の善哉”があるお店として営業を続けています。

1940(昭和15)年に、大阪出身の文豪・織田作之助の名が一躍有名になった代表作「夫婦善哉」は、お店の屋号から取られたもので、作中にも主人公の夫婦が「夫婦善哉」を食べる光景が描かれています。
その後、小説を基にした映画「夫婦善哉」が公開され、全国的にその名が知られるようになりました。

小説「夫婦善哉」について

大正から昭和初期にかけての大阪が舞台で、北新地の人気芸者でしっかり者の女(蝶子)と、化粧品の問屋の若旦那で優柔不断な妻子持ちの男(柳吉)が駆け落ちし、次々に商売をしますが、柳吉の浪費グセで失敗するのを何度も繰り返し、喧嘩しながらも別れることなく2人で生きる内縁夫婦の物語です。

何度目かの喧嘩のあとに、柳吉が蝶子を「めをとぜんざい」に誘い、一人に二椀の善哉を前に「ひとりより夫婦の方がええいうことでっしゃろ」と言いながら、ふたりで仲良く善哉をすするラストシーンが印象的です。

織田作之助は、夫婦善哉のある法善寺を「大阪の顔」だと言い、大阪を知らない人から「最も大阪らしいところへ案内してくれ」と言われたら法善寺へ連れて行ったそうです。
“法善寺横丁のなかでも夫婦善哉はもっとも有名で、一人前で二椀の善哉に夫婦(めをと)と名づけたところに、大阪の下町的な味がある”と書き残しています。

商売繁盛、夫婦円満の“縁起物の善哉”

法善寺

法善寺

法善寺 夫婦善哉

法善寺 水掛不動尊

法善寺 夫婦善哉

「夫婦善哉」の紹介が書かれている看板

創業時は違う場所で営業をしていましたが、現在は、大阪・なんばエリアの観光地としても有名な法善寺・水掛不動尊のとなりにあります。
水掛不動尊は、商売繁盛や縁結び、病気平穏など、水をかけて叶えたい望みをお願いすることで、どんな願いごとも円満に成就するご利益をいただけます。

そんなご利益が良い場所にお店が位置しているということ、また商売繁盛以外にも夫婦であれば円満を、素敵な出会いを求める方には縁結びをという“縁起物の善哉”と言われていることから、連日多くの方が夫婦善哉を味わいに訪れます。

なかには、「今日、籍を入れてきました」という新婚さんもいらっしゃるそうです。

法善寺 夫婦善哉 法善寺 夫婦善哉

店内は18席あり、広々としたテーブル席ですので、落ち着いて食事を楽しむことができます。

壁一面には、文豪・織田作之助、女優であり漫才師のミヤコ蝶々、演歌歌手の石川さゆりなど「夫婦善哉」に深く関わってきた著名人の作品がずらりと飾られていますので、ファンの方にはたまりません。
また、店内の奥の壁は、著名人の色紙で埋め尽くされており、多くの方から愛されてきたのがわかります。

昔から変わらない!こだわりの「夫婦善哉」

法善寺 夫婦善哉

夫婦善哉 815円(税込)

創業当時から受け継がれてきた「夫婦善哉」の上品で濃厚な甘さと後味の良さは、一度食べたらやみつきになること間違いなしです。

高級小豆の代名詞ともいわれる「丹波大納言小豆」などを使用し、お店で全て手作りしています。
弱火で小豆を潰さないようにかき混ぜながら約8時間釜で炊き、さらに1日寝かせます。
こうすることで小豆に砂糖が程よく浸透し、しっかりとした甘味が出るとともに、1粒1粒にハリとコクが生まれます。

小豆の旨味を最大限に引き出すこの調理方法は、現在、店長のより子さんを含めて3人しか作れないとのことで、職人技だということがわかります。

「昔、子供の頃に両親に連れられて食べた味と同じで感動しました」という、約30年越しのリピーターの方からの嬉しい言葉をいただいたという、夫婦善哉ならではのエピソードも聞かせていただきました。

また、温かい「夫婦善哉」以外にも、夏場の暑い時期にベストな「冷し善哉」もありますので、どの季節に来ても楽しむことができますよ。

法善寺 夫婦善哉

お口直しについてくる塩昆布は、北海道道南産天然真昆布を使用しています。
昔ながらの平釜でやわらかく仕上げており、深い味わいが夫婦善哉のうま味を引き立てます。

1杯目、2杯目の間に昆布休憩をはさんだり、最後の1口として楽しみに取っておいたりと、その時の気分によって楽しめます。

期間限定メニュー「氷善哉」

法善寺 夫婦善哉

宇治抹茶 氷善哉 815円(税込)

初夏から秋ごろまでの期間限定メニュー「氷善哉」は、ミルクと宇治抹茶の2種類があり毎年大人気です。
ふわふわのかき氷に濃厚な味わいの抹茶シロップ、こだわり大納言大豆に加え、もちもち食感の白玉がたまりません。

法善寺 夫婦善哉

氷善哉も、お店で全て手作りされています。
こちらの「宇治抹茶氷善哉」にかかっているシロップは、実際にお店でたてたものを使っていて、宇治抹茶本来のまろやかな味わいを堪能できます。

大納言小豆はかき氷の中にもたっぷりと入っており、もちもちの白玉との相性もバッチリです。

最後の一口まで満足しながら食べることができますので、暑い時期は要チェックです。

テイクアウト、オンラインショップ

法善寺 夫婦善哉

テイクアウト用の夫婦善哉は入口にあり、2パックから購入が可能ですので、大阪土産にもぴったりです。

店長おすすめの食べ方を聞いたところ、焼いた餅や白玉を入れてもおいしく、暑い時期だと冷たくし「冷し善哉」や氷をかけて「氷善哉」にして食べても◎だとか。
他にもおすすめアレンジレシピがたくさんあるそうで、希望があれば購入するときに色々教えてくれますので、お得感が感じられます。

また、ここでしか食べることができない味が、公式オンラインショップで購入することができるのは嬉しいポイントです。
化粧箱に8パック入った「夫婦善哉2,700円(税込)」がありますので、気になる方はこちらもご確認くださいね。
公式オンラインショップ

法善寺 夫婦善哉

店頭限定のお土産コーナーは「夫婦善哉 ストラップ」「夫婦善哉 提灯」など、大阪観光の思い出にベストな商品がそろっています。

「夫婦善哉 塗箸セット(特製木箱入り)」は、結婚祝いのプレゼントに購入される方も多いそうで、縁起物として喜ばれること間違いなしです。

受け継がれ続けた暖簾と現在

約140年の歴史がある「夫婦善哉」の暖簾は、実は多くの方の手に渡り現在の形があります。

創業者である木文字重兵衛が亡くなったのちに娘の「かめ」が営業を続けていましたが、1944(昭和19)年に第二次世界大戦の影響で強制疎開になり、お店を閉めざるを得ない状況になりました。

しかし、終戦後の1946(昭和21)年、「夫婦善哉」にご縁があった主人が、戎橋南詰(戎橋筋商店街あたり)で暖簾を掲げ営業を再開しました。
1953(昭和28)年になると、宝塚歌劇などの演出家として有名な平井正一郎に暖簾が渡り、法善寺表門前の阪町(大阪・千日前1丁目付近)で約2年間営業を続けました。

その後、1958(昭和33)年に料理屋「みどり」の店主が暖簾を引き継いだと同時に、現在お店がある法善寺横丁に移転しました。
同時期に法善寺横丁内に、現在の夫婦善哉の運営会社の創業者・重里進さんが、すしと鍋物が安く食べられる“働く者の鍋屋”として有名な「すし半」を開店しました。

1964(昭和39)年、「みどり」の店主と仲が良かった重里さんが「大阪の伝統である夫婦善哉を守りたい」という強い想いから暖簾を引き継ぎ、現在も法善寺横丁で“大阪の伝統”を守り続けています。

マスコットキャラクター「お福人形」

法善寺 夫婦善哉

3代目 お福さん

法善寺 夫婦善哉

4代目 お福さん

マスコットキャラクターである「お福人形」は、創業者の木文字重兵衛が大阪・千日前にある古道具屋で、アメリカ人に買い取られそうになった時に大金を出して手に入れたのがきっかけです。
「夫婦善哉」に屋号が変わった時も、暖簾が多くの方に受け渡った時も変わらず代々守り継がれています。

現在は、外のショーケースの中に3代目お福さんが、店内に入った入口付近には4代目お福さんが、今でも夫婦善哉を見守ってくれています。

名物店長より子さん

法善寺 夫婦善哉

より子店長

法善寺 夫婦善哉

より子店長が購入した「初代お福さんキーホルダー」

長年夫婦善哉に務めており、人情味溢れる明るい人柄で名物店長としてお店を支えているより子さんに、お店の魅力を聞いたところ「大阪の伝統と昔ながらの味を守り続けているお店であり、大阪らしい少しおせっかいな接客も夫婦善哉の魅力ですね」と、笑顔で答えてくれました。

善哉メニューを注文すると、美味しさの秘密やアレンジレシピはもちろん、常連の方であれば世間話を、昔の法善寺横丁界隈のお話や、作家や作品の聖地巡りをされている方にとって嬉しい貴重な展示資料について、またサイン色紙がある著名人がお店に来た時のお話など、希望があれば、接客をしながらたくさんお話してくれます。

こうした、より子店長を含めたスタッフさんの“大阪らしい少しおせっかいな接客”を求めに、お店に来る常連の方も多いそうです。

知っておくと何倍も楽しめる!貴重な資料

法善寺 夫婦善哉

文豪・織田作之助

法善寺 夫婦善哉

「夫婦善哉」 初版

法善寺 夫婦善哉

映画「夫婦善哉」森繫久彌

法善寺 夫婦善哉

「月の法善寺横丁」藤島桓夫

織田作之助の写真や、小説・夫婦善哉の初版など、ファンの方にはたまらない店内になっています。

現在の関西ローカル番組「新婚さんいらっしゃい」の基になったとされる、ミヤコ蝶々・南部雄二の番組や、森繫久彌の出世作と言われる映画など、「夫婦善哉」に関わった方の資料はお店ならではです。
また、藤島桓夫の名曲「月の法善寺横丁」といった法善寺横丁に関わった方や、法善寺界隈の貴重な歴史の資料などもたくさん展示していますので、ぜひ夫婦善哉を食べながら店内の資料を見て楽しい時間をお過ごし下さい。

店舗詳細

店名/法善寺 夫婦善哉(めおとぜんざい)
住所/大阪府大阪市中央区難波1-2-10
電話番号/06-6211-6455
営業時間/10:00~22:00
※当面の間10:00~21:00
定休日/なし
法善寺 夫婦善哉公式サイト

アクセス

※最寄りの駅から紹介しています。

法善寺 夫婦善哉

1、各なんば駅下車後、なんばウォークB12番出口からでます。

法善寺 夫婦善哉

2、すぐ左手にある戎橋筋商店街アーケードに入ります。

法善寺 夫婦善哉 法善寺 夫婦善哉 法善寺 夫婦善哉

3、30秒ほど歩くと右手にカラオケ館なんば戎橋本店が見えますので右折し、法善寺水掛不動尊表参道を直進します。

法善寺 夫婦善哉 法善寺 夫婦善哉

4、突き当たりにある法善寺の看板の中に入るとすぐ右手に「夫婦善哉」があります。

まとめ

今回は、織田作之助、ミヤコ蝶々、石川さゆりなど多くの著名人に愛され続けてきた「夫婦善哉」のお店を紹介しました。

夫婦円満、恋愛祈願や商売繁盛など“縁起物の善哉”としても有名で、昔から変わらないこだわりの味は一度食べたら忘れられない味わいです。
また、より子店長を含めたスタッフさんの大阪らしい温かい接客も魅力で、店内ではリラックスした時間を過ごせますので、地元の方の穴場スポットとしても◎ですよ。

大阪の観光スポットを探されている方はもちろん、美味しい善哉を食べたい方や恋愛祈願をしたい方、また地元の穴場スポットを見つけたい方にぴったりなお店ですので、ぜひ「夫婦善哉」に足を運んで、素敵な時間を楽しんでくださいね。