なんば駅前広場が激変!?社会実験「なんばひろば改造計画」とは

なんば広場改造計画

大阪の南海なんば駅前で歴史的な大改造が実現しようとしているのをご存知ですか?
いま世界的に道路を「車」から「人」を中心とした歩行者天国のような空間へと再編される動きが広がっています。

海外に目を向けるとニューヨークのタイムズスクエアをはじめ、道路や河川を歩行者のための快適な空間として再編されたという事例もあります。

このような取り組みは世界的に見ても最先端の街づくりといえますが、日本でも御堂筋周辺などで同様の取り組みが加速。その御堂筋の終点にあたる場所、南海なんば駅前を人中心の空間とするプロジェクト「なんば駅周辺道路空間再編事業(通称:なんばひろば改造計画)」について詳しくご紹介します。

目次

なんば駅前広場ってどんな場所?

関西国際空港まで直結している南海なんば駅や髙島屋大阪店の南側、大阪市内を南北に縦断する御堂筋の終点でもあるこの場所は、道頓堀や千日前、日本橋へとつながる3つの商店街の起点でもあり大阪ミナミの玄関口としても有名です。

なんば広場改造計画

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なんば広場改造計画

なんば広場改造計画

現在は喫煙スペースが設置されている小広場以外は、タクシーやバスの停留所などのロータリーとして利用されています。広場から日本橋エリアや黒門市場をつなぐ通り(通称:なんさん通り)は片側1車線の道路ですが駐車スペースには多くの車がいつも停車しており、歩道もせまいうえ放置自転車が多いことが問題になっています。

なんば広場改造計画

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またなんさん通りの東側エリアは近年注目を浴びている飲食店街(通称:ウラなんば)があり、千日前道具屋筋商店街や黒門市場といった観光スポットも多く、観光客の増加によってさらに歩道が歩きにくい状態となり課題となっています。

なんば広場改造計画

なんば広場改造計画

組織が一丸となって取り組む改造計画

このような多くの課題を解決すべく、なんば駅周辺の道路空間を再編(車から人が中心の空間へ移行)する計画が立ち上がり、2011年(平成23年)には地元商店街と企業26団体から構成される「なんば安全安心にぎわいのまちづくり協議会(以下、まちづくり協議会)」が設立。大阪商工会議所や大阪府、大阪市といった行政を巻き込んでのまちづくり構想が実現されようとしているのです。

目指す姿は世界をひきつける観光拠点「大阪のおもてなし玄関口」であり、居心地がよく安心感のある空間を創造。またミナミを中心に大阪・関西を回遊する拠点として、世界的に有名な繁華街ミナミの、そして大阪のシンボル空間を生み出そうという計画なのです。

まちづくり協議会の経緯と計画

きっかけは2008年(平成20年)になんさん通り商店会が放置自転車の抜本的な対策として、なんさん通りや駅前広場のフルモール化(歩行者専用の道路化)を盛り込んだ振興ビジョンを立案したことから始まります。
同年には戎橋(えびすばし)筋商店街振興組合もまちづくり構想を立案してなんばエリアに歩行者中心の広場を確保する必要性を掲げ、その場所の1つとしてなんば駅前広場を位置づけたのです。

翌年の2009年(平成21年)には近隣の商店街や企業も集まり、構想実現にむけた勉強会が始まりました。またミナミ地区の観光集客と文化振興を推進する非営利組織「ミナミまち育てネットワーク」が協力機関として参画することで技術的なサポートも得ることができるようになりました。

2010年(平成22年)には交通の専門家も参加して先進都市の事例を学ぶとともに、なんば駅前広場を歩行者空間として快適なものとするための複数案をシミュレーションした結果、車道を南行き一方通行に再編する案が実現可能との結論に至りました。

そして2011年(平成23年)になんば駅周辺の連合町会、振興町会、商店街、主要な企業25団体(現在は26団体)が参加したまちづくり協議会が設立。さらに大阪市のまちづくり支援制度を活用して、100年後のなんば駅前があるべき姿を構想するとともに、駅前広場を活用するアイデアの一般公募やシンポジウムを行うなど社会的なアピールにも取り組みました。

2012年(平成24年)には大阪市の「大阪都市魅力創造戦略」にも位置付けられ、その翌年の2013年(平成25年)には大阪商工会議所が大阪全体の集客力強化につながるインバウンド観光の受け入れ拠点として「世界一歩いて楽しい観光都市ミナミ」を掲げ、その先駆けとして「なんば駅前の広場化」の実現に向けて官民合同組織での検討、社会実験の実施が提言されました。

なんば広場改造計画

2013年11月9日に開催された「なんば駅前広場を考えるシンポジウム」の様子

このような経緯から2015年(平成27年)には行政と協議会、経済界などが参画する検討会が設置され、「なんば駅周辺道路空間の再編に係る基本計画・中間とりまとめ」が策定され、最初の構想から8年がかりで官民一体となった事業化の検討段階へと発展したのです。

2016年に実施された社会実験「なんばひろば改造計画2016」

最初になんば駅前広場で実施された社会実験(※1)では、3つの課題を検証することを目的として同年11月11日(金)~13日(日)の3日間実施されました。実験の対象区域は、髙島屋大阪店となんばマルイ(東宝南街ビル)に囲まれた南海なんば駅前広場から、日本橋エリアまで通じているなんさん通り(なんばCITY本館と南館の間にある難波中2交差点)までの区間です。

①道路空間の再編による人中心の空間づくり

なんば広場改造計画

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②来街者へのおもてなしと体験型観光情報を提供する観光案内所の試行

なんば広場改造計画

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③交通機能の再編

なんば広場改造計画

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社会実験を実施した3日間の累計で8万7000人が仮設の広場に入場し、当時の来街者アンケートでは、この社会実験を「とてもよい」「よい」とする回答が全体の92.6%(※1)でとても好評な結果となり、中でも広場内にあった「休憩スペース」が最も高い評価となりました。 また交通量調査の結果においても、バス・タクシーのりばを御堂筋沿いに集約して交通サービスを維持しつつ、周辺の交差点への影響は許容範囲内の数値にとどまりました。
【2016年】社会実験の成果報告/なんばひろば改造計画公式サイト

この社会実験の結果をふまえて、大阪の都市機能の向上、憩いの空間、観光案内の拠点となり、なんば駅前広場を大阪の新たなシンボル空間として活かしていく方針が基本計画に盛り込まれました。また近年対応が急がれる自然災害時の帰宅困難者に対する情報提供の拠点としても検討されています。

【補足】※1:社会実験の目的(国土交通省HP)

2021年に検討されている社会実験

前回(2016年)実施した社会実験の結果をふまえて、2018年から新たな設計図の制作に着手。その中で交通面の安全性を高めるため、一般車両の交通を原則禁止(搬入用の貨物車両のみ通行可能)を実現するための検討が始まりました。

なんば広場改造計画

なんば周辺空間再編図

そして2回目となる社会実験が、以下の検証を実施する予定で準備が進められています。

【交通規制による影響】
・一般車両の通行規制による交通影響など
・貨物車両の通行や荷さばきルールの検証
【歩行者空間の利活用】
・ひろば化されたなんば駅前の日常での使われ方
・沿道の建物から公共空間への”にじみ出し”利用の検証

これらの結果をふまえて、今後の計画や管理運営の参考情報として反映されることになります。

新線開業でなんば駅が関西のハブ拠点に

南海本線が2031年春に開業予定の「なにわ筋線」(南海なんば~JR新大阪間)へと乗り入れるために1つ手前の新今宮駅から分岐して地下路線を新設、現在のなんば駅周辺の地下に新南海難波駅(仮称)が整備される計画となっています。

南大阪方面や関西国際空港だけでなく、新大阪方面からも1本につながることとなれば、なんば駅が路線の中心地という位置づけになります。なんば駅前広場がシンボリックな空間へと変貌することで、大阪関西の玄関口としてよりふさわしい場所としてより多くの人が集まるエリアとなることでしょう。

まとめ

なんば駅前広場では第2回目となる社会実験の準備が進んでいます。歩行者が主役となる空間を目指して、大阪なんばエリアに来街者や観光客をどのようにお迎えするのか検討が進められています。

またなんば駅前広場と同じく歩道拡張といった空間再編に着手している御堂筋にも接続しており、御堂筋から道頓堀川の水辺空間を楽しめる「とんぼりリバーウォーク」にもアクセスが可能になります。
駅前広場や御堂筋とった公共の歩行者空間と、ミナミ界隈の商店街を中心としたアーケードが一体となることで、回遊性のあるミナミエリアが形成されることになります。歩いて楽しい、開放的な空間に生まれ変わるなんばの街並みから目が離せません。

【公式サイト】なんばひろば改造計画

【参考資料】
大阪市:大阪都市魅力創造戦略2020
南海グループ経営ビジョン 2027

【あわせて読みたい記事】
【過去レポート】11月28日(土)から開始!社会実験「御堂筋チャレンジ2020」をご紹介

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