なんばの中心に位置する戎橋筋(えびすばしすじ)商店街は、髙島屋大阪店の前から戎橋までの間の南北約370mに老舗から流行最先端のファッションアイテム、エンタメ、グルメなど、約100店の多彩な商店が軒を連ね、地元の人や国内外の観光客で賑わう、大阪屈指の商店街です。
戎橋筋商店街では、毎年春と秋に「体験博」というイベントを開催しています。
こちらは、多彩な商店の魅力やミナミ・なんばエリアの魅力を、体験を通じて皆さまに知っていただこうと「551蓬莱」「大寅」「をぐら屋大阪戎橋筋」「丹青堂」「千鳥屋宗家」など商店街に本店や店舗を構える商人たちが手作りで企画した、都心の商店街ならではのイベントです。
商人渾身のプログラムの数々は、平素できないことを体験して楽しむのはもちろん、商人と参加者、参加者同士など、人と人とのふれあいを楽しめるのも、人情味溢れるミナミのまちの魅力です。ひとりではなかなか行けないところや路地裏に広がる多彩な店など、ふところ深いミナミに商人自らご案内するプログラムなど、知ればもっと楽しくなる、まち歩きや芸能・エンターテインメントを体験できるとあって、毎回約3000人を超える応募があります。
今回は最近の社会情勢を鑑み、感染防止対策を導入した「ウイズコロナ」型のプレ体験博イベントを開催しました。
戎橋筋商店街のファンで「これから体験博どうなるのかな?」と疑問を持っている方、体験博に参加されたことのない方にも、わかりやすい内容でレポートしていますので、ぜひご覧ください。
プロ野球の観客入場制限解除の7月10日にプレ体験博を実施!
7月10日は、プロ野球やJリーグなどのスポーツイベントへの入場制限緩和の記念すべき日となりました。
戎橋筋商店街も2010年秋から続けてきた体験型イベント「体験博」が緊急事態宣言の前日に募集停止となってから半年、今年1月10日(金)の宝恵駕(ほえかご)行列に参加して以来、実に半年ぶりのイベント開催となりました。この日を迎えられて感無量です。
とはいえ、ウイズコロナが続きます。今回のプレ体験博は、大阪府内の商店街が一丸となって感染症対策と活性化を一体に進めていこうという取り組みとも呼応して様々な工夫を取り入れました。募集は、戎橋筋商店街のメールマガジン会員(約7000人)に限定して実施したところ、募集20名の枠に149組250名のご応募がありました。
みなさんお出かけに慎重になられているかと心配していましたが、
・コロナの影響でずっと行けなかったミナミをまた楽しめるようになりたい。
・大阪に活気が戻るようにと思って応募させていただきます!
・日本のお客さんに良さをわかってもらえるこの様なイベントを素晴らしいと思います。
など、たくさんのご意見も寄せていただきました。
それにしても、当選された皆様はプラチナチケットですね。
今回導入したウイズコロナ型まち歩きとは?
募集の際に次のような対策をお知らせしました。
発熱、咳、全身倦怠感等の症状がある、もしくは検温して体温が37.5℃以上ある場合(無症状でも)は参加いただけませんので予めご了承ください。
必ずマスクをご着用のうえ、参加者どうしの距離確保にご協力ください。
距離確保のため、無線装置によるイヤホンガイドを使用します。事前に消毒したイヤホンを使用します。
さて、このイヤホンガイドが新しい試みです。
まち歩きを行うと、列が分散してしまったり、ガイドの声が届きにくかったりという課題は元々ありましたが、この装置を使うと野外なら数10m程度離れてもガイドの声が届き、お客様の方に顔を向けずに話しても声が聞こえますので、飛沫対策にもってこいです。
今回使用したのは軽量無線機器の「ガイディング・レシーバー」。旅行の添乗員派遣を営む旅行綜研さんからお借りしました。商品を宅急便で送ってもらうと、衛生管理も徹底されていました。念のため、事務局もアルコール消毒のうえ個包装をして準備完了。
ミナミまち歩きは、こんな感じです!ダイジェストでご覧ください
今回のコースは、戎橋を出発し、なんば~千日前~道頓堀をぐるっと回る徒歩2キロメートルのコースです。今回のガイド役は551蓬莱の杉井さんです。
まずは、戎橋の上でミナミ(南地)のルーツのお話から。道頓堀川が今から400年ほど前に造られた運河であること、そして道頓堀川の完成とほぼ同時期に架けられた「戎橋」がこれまで15回にわたり大改修や架け替えが行われてきたこと、橋から見えるグリコサインの歴史についてご紹介。道頓堀では歌舞伎専用の劇場として再建された大阪松竹座や、そのお隣にあるお肉の名店はり重のご紹介もありました。
では戎橋筋をなんば方面へ進みます。
戎橋筋商店街の老舗をご紹介
商店街のアーケード内を進みながら、エピソードを交えながら老舗を中心に紹介しました。
1848年創業、昆布のをぐら屋は船場の鬢付け油商から暖簾分けを許された番頭が昆布屋に商売替えして創業、をぐら屋の隣の丹青堂の店内には日本画に使う岩絵の具が2000色も展示されています。ジャガーカバン店では毎朝スタッフが壁面にかばんを吊るしていく作業風景が圧巻であること、551蓬莱のぶたまんの下に敷かれている薄い木は551蓬莱ではざぶとんと呼んでいることや、布地を取り扱うとらや商店では上層階でカットした生地がカプセルに入れられてレジ横に滑り落ちてくるしくみなど、いつものお買い物では知ることができない裏話が盛りだくさんです。
興業映画発祥のレリーフやなんばの歴史建築
なんばマルイ北側の石畳の通りは英國屋の本店やレコード喫茶などが軒を連ねカフェストリートとよばれていること、御堂筋の向こうに見える建物は結婚式場とホテルに建て替わりましたが昔の新歌舞伎座の外観を再現、設計は国立競技場を手掛けた隈研吾さんであることをメインにお話しながら、街歩きを進めます。
東宝シネマズなんばのエレベーターホールの奥に入ると人知れず銘板が設置されていて「映画興行発祥の地」であることが書かれています。揮毫の「小林一三」は阪急電鉄の創業者でもあります。髙島屋大阪店が入る南海ビルは昭和5年築の歴史的な建造物、髙島屋大阪店は、開業当時「南海髙島屋」と呼ばれていて日本で最初に冷暖房を完備した百貨店でした。
ウラなんばから千日前のワンダーランドへ
なんさん通りを南に進み路地を入ってウラなんばへ。この界隈で飲食店を営んでいた3人の経営者がウラなんばを命名してミーツに掲載されて広まったお話や、ワインの立飲み店など地元民おすすめのお店をご紹介。道具屋筋やレジャービル味園の歴史や魅力、昭和の初めから営業している老舗のキャバレー「ミス大阪」など紹介しながら千日前を北上します。
道路を渡って飲食店が軒を連ねる相合橋筋に入り、昭和の居酒屋・正宗屋の前を通って一つ目の角を曲がって横丁に入ります。角にある丸福珈琲店の本店、さらに落語家の桂ざこばさん御贔屓のバーや和食の職人さんが営む元祖100円寿司の店、戦後まもなく創業した「おかる」は昔ながらのふんわりしたお好み焼きで、マヨネーズを駆使して絵を描いてくれます。
法善寺から道頓堀へ路地横丁巡り
千日前商店街を横切って法善寺境内へ到着しました。江戸時代にミナミに移転した法善寺は戦争で伽藍を焼失してお不動さんと金毘羅さんだけが残ります。西向き不動の門前の法善寺水かけ不動表参道には、インディアンカレー、アラビヤ珈琲、串カツの二色など戦後まもなく創業した大阪らしい飲食店が並びます。
法善寺横丁の山門をくぐって名だたる名店を順番にご紹介して巡ります。戦前からある正弁丹吾亭、ミシュランに掲載されている割烹の本湖月、女性に人気のくし料理のwasabi、ご飯とカツが別々に提供される喝鈍、浪速料理を追求する割烹・喜川を紹介しながら、浮世小路へ向かいます。
1930年代頃のミナミの歴史をモチーフにしたテーマ型小路で、うどんで有名な「道頓堀今井」が楽器店だったころ、道頓堀が発祥の地ともいわれる一寸法師の大明神、初代桂春団治の「野崎参り」が聞ける仕掛けなどが楽しめます。
浮世小路を抜けると道頓堀に出ます。ちょうど左手にはうどんの名店、道頓堀今井があります。今井では大阪の料理人が使用する真昆布でだしをとります。今井さんの現当主は喜川で修業された料理人さんで、様々な和の料理も楽しめるんですよ。
太佐衛門橋を渡って、道頓堀川辺の遊歩道(とんぼりリバーウォーク)にある船着き場へ。とんぼりリバーウォークが完成したのは、2012年12月末のことでした。かつては水質が悪化した道頓堀川を2つの水門を設けて浄化し、水面を一定に保つことにより遊歩道が実現したお話をして、ガイド付きの街歩きは終了。
最後にとんぼりリバークルーズに乗船いただきました。この日は生憎の曇り空でしたが、お天気がよければ、美しい西日に向かって船が進み降りる頃にはネオンが映える夕間暮れがご覧いただけます。午後7時には道頓堀川万灯祭の提灯が点灯して、情緒いっぱいのミナミの夜を散策いただけます。
まとめ
半年ぶりに開催したウイズコロナでのプレ体験博の模様をご紹介しました。
検温やレシーバーの導入、消毒の徹底などはもちろん、参加された皆さんにも、マスクの着用やソーシャルディスタンス確保など、一緒に感染症防止対策に取り組んでいただきながら、ミナミの魅力に触れていただきました。
今春は残念ながら開催中止となった「体験博」ですが、「ウイズコロナ」を念頭に、安全確保・感染拡大防止に取り組みながら、秋にむけての企画会議がスタートしています。こちらもぜひお楽しみに。
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