たこ焼き、お好み焼きなどのグルメや、通称・グリコの看板と呼ばれるグリコサイン、また大阪松竹座などといった大阪の観光スポットとしても有名な道頓堀(どうとんぼり)。
そんな道頓堀は、江戸時代より現在も残る名劇場や芝居小屋が建ちならび、民衆の集まる「劇場都市」として栄えた文化芸術の街でもあります。

今回は、劇場都市・道頓堀の歴史を体験しながら学ぶことができる「道頓堀ミュージアム並木座(なみきざ)」を紹介していきます。
オーナーであり仕掛人の肩書きを持つ山根さんに、道頓堀ミュージアム並木座についてはもちろん、見どころや歴史、また料金やアクセスなどの施設詳細まで詳しく聞いてきました。
歌舞伎や文楽が好きな方や道頓堀の歴史について知りたい方、また大阪・なんばの観光スポットやおでかけスポットを探されている方に参考になりますので、ぜひ最後までご覧くださいね。

なぜ道頓堀は「劇場都市」と呼ばれるの?

劇場都市・道頓堀の歴史は江戸時代までさかのぼります。

江戸時代の大坂(この時代は坂の字を使っていた)は幕府直轄の領地でした。
当時、市街地を拡張する政策がとられ、道頓堀エリアの街づくりが始まりました。

1619年に安井九兵衛道卜(やすいきゅうべえどうぼく)という人物が、大坂の町役人を束ねる惣年寄(そうとしより)という役目に就くと、1626年頃に南船場の芝居小屋を道頓堀に移転させます。
これがきっかけとなり、公認された義太夫(ぎだゆう:人形浄瑠璃の語り手)などの見世物小屋が道頓堀に次々と建ち、さらに芝居の切符や食事処など観劇に来た人々をもてなす芝居茶屋が周辺に軒を連ね、繁華街としての形がつくられていきました。

人形浄瑠璃の「竹本座」や「豊竹座」では名作が次々生まれるのと同時に、「中座」「角座」などの劇場がオープンし歌舞伎もブームになり、道頓堀は劇場都市として有名になりました。

また、大正時代の道頓堀にはさまざまな芝居小屋がありましたが、特に大きな劇場は五座と呼ばれ「弁天座」「朝日座」「角座」「中座」「浪花座(竹本座)」があり、アメリカのブロードウェイのような劇場や芸人が集まる演芸・演劇の聖地とも呼ばれていました。

中座や竹本座など閉鎖された劇場もありますが、現在でもミナミエリアには角座やなんばグランド花月、大阪松竹座、国立文楽劇場などがあり、今でも多くの人でにぎわっています。

参考/道頓堀商店会公式サイト

道頓堀ミュージアム並木座について

道頓堀400年の歴史を伝える場所

道頓堀並木座ミュージアム 道頓堀並木座ミュージアム

「道頓堀ミュージアム並木座」は、歌舞伎や文楽といった芸術を育んだ劇場都市・道頓堀の400年の歴史を伝えるミュージアムです。
屋号の「並木座(なみきざ)」は、世界に広まった回り舞台やセリを歌舞伎のために考案・活用した並木正三(なみきしょうざ)とその師匠・並木千柳(なみきせんりゅう)という人物の名前からつけられたものです。

来ていただいた方に「楽しかった~!」を1番に感じてほしいという想いから、エンタメ要素が強い展示・体験になっており、子どもから大人まで楽しみながら学ぶことができます。
歌舞伎や文楽が好きな方はもちろん、若いカップルやファミリー、また大阪観光に来られた方など老若男女問わず楽しめるミュージアムです。

並木正三について
大阪・道頓堀生まれ。歌舞伎や文楽の作品を約100点以上制作した脚本家。
また、歌舞伎で使用される舞台工芸の「※回り舞台」や「※セリ」を発明し、舞台ごとカラクリ屋敷にした人物で、自分の書いた脚本のなかに自身が演者になり登場するといった自由な発想の持ち主です。

※回り舞台…舞台の中央を大きく丸く切り取り、その部分を回転させる舞台装置のこと
※セリ…舞台の一部を切り取り、昇降装置を設置した舞台機構のこと

並木千柳について
並木正三の師匠。並木宗助と同一人物。
歌舞伎や人形浄瑠璃などで三大名作といわれる「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」「義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)」「仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)」の作者として名高い人物です。

映像・資料を通して歴史を学べる

道頓堀並木座ミュージアム 道頓堀並木座ミュージアム 道頓堀並木座ミュージアム
文七くんのプロフィール
並木座のマスコットキャラクター文七(ぶんしち)くんが、専門家しか知らない道頓堀の歴史についてのエピソードや、当時の道頓堀周辺の様子、また竹本座や中座といった芝居小屋が集まる劇場都市の様子や、並木正三・並木千柳についてなど、映像を通して教えてくれます。

歴史の部分など少し難しい内容であっても、小学生でも理解できるようにとクイズ形式で楽しめるように工夫されていますので、夏休みの自由研究にも最適です。

また、映像は日本語以外にも英語・スペイン語・中国語・韓国語と5ヵ国に対応可能ですので、海外からの友人の観光案内にも利用することができます。

道頓堀並木座ミュージアム
道頓堀並木座ミュージアム

館内は撮影自由です

映像が終わると、館内にある貴重な資料を使いスタッフさんが詳しく説明してくれます。
この時に、わからない点やもっと知りたいと思った場合は質疑応答も可能なところは嬉しいポイントです。

撮影スポット・歌舞伎役者体験ができる

道頓堀並木座ミュージアム

並木座では、実際に回り舞台に立ち、歌舞伎役者気分を体験することができます。

こちらのパネルは大阪松竹座の協力のもと、劇場で実際に使用する衣装を撮影してつくられおり、スマホなどで撮影すると着ているように感じるつくりになっている貴重なパネルです。
また、かつらなどの小物の貸出も無料なうえ、スマホ撮影で写真を残すこともできますので、大阪観光の思い出にも◎です。

チケット購入について

道頓堀並木座ミュージアム 道頓堀並木座ミュージアム

道頓堀ミュージアム並木座の入口にチケット売り場がありますので、そちらで購入することができます。
また現在は、大阪コロナ追跡システムや検温、消毒、スタッフのマスク着用といった感染症対策を徹底していますので、安心して館内を楽しむことができます。

入館料/大人:600円(税込)
子ども(小学生以下):300円(税込)
シニア(65歳以上):500円(税込)
観覧時間/入館から20~30分程度

こちらのフライヤーをコピーし持参いただいた方は入館料の割引もありますので、ぜひお得にご利用くださいね。 

※新型コロナウイルス感染症の感染状況により、営業時間や営業形態が随時変動しています。
ご訪問前に、公式サイトや公式Facebookで最新情報をご確認お願いします。

道頓堀並木座ミュージアム公式サイト
公式Facebook

道頓堀ミュージアム並木座の見どころ

芝居小屋を再現

道頓堀並木座ミュージアム

道頓堀五座として有名な「角座」「中座」「竹本座」などの各芝居小屋には、太鼓などの音を鳴らすことで上演開始の合図をしていた「太鼓櫓(たいこやぐら)」が設置されていました。
並木座の外観の上の方を見上げると、太鼓櫓が設置されており、当時の芝居小屋を感じることができます。

道頓堀並木座ミュージアム

館内に入ると、江戸時代の芝居小屋をイメージしたつくりになっており、当時の様子を体験することができます。

日本文化と現在建築の融合が得意な建築家・六波羅雅一(ろくはらまさかず)さんが、江戸時代の道頓堀にあった芝居小屋を現代に再現しました。
また、天井のちょうちんは、御堂筋イルミネーションなどを手掛ける照明デザイナーの長町志穂(ながまちしほ)さんによるもので、ろうそくで照らすちょうちんのゆらめきまで再現されていて、こちらも古き良き時代の雰囲気が楽しめます。

ちょうちんに描かれている紋(もん)は、坂本竜馬などと同じ桔梗紋(ききょうもん)に、道頓堀五座にちなんだ5本の竹、道頓堀川の流水などが描かれた「道頓堀ミュージアム並木座」のオリジナルの紋です。

道頓堀並木座ミュージアム

当時の回り舞台を再現し、間近で見ることができるのは並木座の魅力です。

また、香川県仲多度郡琴平町(ことひらちょう)の金刀比羅宮(ことひらぐう)・門前町にある、国の重要文化財である日本最古の芝居小屋「旧金比羅大芝居(きゅうこんぴらおおしばい)」、別名「金丸座(かなまるざ)」とも呼ばれる場所の※奈落(ならく)で、実際に人力による回り舞台やセリを動かした貴重な映像を、並木座では常時放映していますのでぜひチェックしてくださいね。

※奈落…当時の舞台にあった地下部分のこと、この場所で舞台を人力で動かしていた。

さまざまな仕掛け

道頓堀並木座ミュージアム

館内にはさまざまな仕掛けがありますので、学びながら探してみるのもおすすめの楽しみ方です。

例えば、ミュージアムとして開館している間は開けることはありませんが、地下の倉庫につながる隠し通路があります。
こちらはスライド式になっていますので、あとで紹介する劇場としての利用の際に最適です。

道頓堀並木座ミュージアム

また、一見普通のトイレに見えますが、少し細工をするとバリアフリー対応になり、車椅子の方も安心して利用することができます。

仕掛人の山根さんいわく、少しずつ館内の仕掛けを増やしていくそうで、これからの道頓堀ミュージアム並木座のつくりにも注目です。

劇場都市・道頓堀を感じることができるスポット紹介

道頓堀並木座ミュージアム

並木座では、劇場都市・道頓堀が感じられる大阪・ミナミエリアを紹介したマップを、館内を楽しんだ方全員に配布しています。
マップ内に紹介してあるお店や施設に行く際に、こちらのマップを持参すると入場料の割引をしてくれたり、ドリンクサービスがあったりと、とてもお得なマップになっています。

演劇場・ギャラリー展の開催

道頓堀ミュージアム並木座では、ミュージアムの他にも演劇場として実際に歌舞伎や文楽などを体験する目的のイベントも開催しています。

道頓堀並木座ミュージアム

並木座1周年記念イベントの様子:豊竹呂太夫師匠×河内厚朗先生

道頓堀並木座ミュージアム

並木座1周年記念イベントの様子:大島真寿美さん×仕掛人山根さん

道頓堀並木座ミュージアム

並木座1周年記念イベントの様子:大島真寿美さんサイン会

イベントは不定期開催ですが、歌舞伎や人形浄瑠璃、トークショー、ジャズといったミュージックイベント、写真などのアート作品を展示するギャラリー展など、さまざまな演劇や文楽、芸術に触れることができます。

「今月はどんなイベントがあるのかな?」と、毎月イベントを楽しみにされている方も多いそうです。
また嬉しいことに、一般の歌舞伎や文楽の入場料に比べると、とてもリーズナブルな価格で楽しむことができますので、少し興味を持ちだした方でも気軽に参加することができます。

イベント詳細はこちらになりますので要チェックです。

貸しスペースとして利用するには?

歌舞伎や演芸に携わっていて披露する場所を探されている方や、ジャズなどのミュージックイベントを考えている方、また写真や絵画などのアート作品の展示会をしたい方など、その方のニーズにあった提案をしてくれますので、安心して借りることができます。

貸し劇場、ギャラリースペースとしての利用をお考えの方は、サイト内に詳細が記載されていますのでご確認ください。

挑戦し続ける想い

道頓堀並木座ミュージアム

大阪や日本のあるべき姿をめざす街づくり運動「大阪まちプロデュース」の主宰である仕掛人の山根さん。

劇場街の歴史の紹介だけではなく、ミュージアム自体にエンタメ性(体験型アトラクション)を持たせたのも「うまく行けば、道頓堀に同様のアトラクション施設が増え、エンタメ街のテーマパークになるのではないか?」という社会実験の意味もあるとのこと。

「この街は、いつもの日常を忘れることができるような『楽しい』『面白い』『感動』を与え続けた歴史ある場所です。道頓堀のグルメもお笑いも全てがエンターテインメントだと感じます。そのエンターテインメントの真髄にある、歌舞伎や文楽をもっと多くの方に知っていただきたい。そんな想いで、これからも道頓堀ミュージアム並木座とともに成長していきます」と強い想いを聞かせていただきました。

常に進化し続ける場所として、これからの道頓堀ミュージアム並木座にも期待が膨らみますね。

施設詳細

施設名/道頓堀ミュージアム並木座
住所/大阪府大阪市中央区道頓堀1-1-6 Y’sピア道頓堀 並木座ビル1階
電話番号/06-6538-4880
開館時間/13:00~17:00
※営業時間や営業形態が随時変動していますので、ご訪問前に公式サイトや公式Facebookで最新情報をご確認お願いします。
定休日/月曜日
公式サイト
公式Facebook

アクセス

道頓堀並木座ミュージアム

1、各なんば駅下車後、B12出口からでます。

道頓堀並木座ミュージアム

2、すぐ左手に戎橋筋(えびすばしすじ)商店街アーケードがありますので、中に入ります。

道頓堀並木座ミュージアム

3、3分ほど歩くと右手にTSUTAYA EBISUBASHIが見えてきますので、右に曲がります。

道頓堀並木座ミュージアム

4、道頓堀商店会を堺筋の方向に向かいます。

道頓堀並木座ミュージアム

5、相合橋(あいあうばし)筋商店街を通り過ぎ5分ほど歩くと、左手に「道頓堀ミュージアム並木座」が見えてきます。

まとめ

今回は、大阪の観光スポットで有名な道頓堀に位置する「道頓堀ミュージアム並木座」を紹介しました。
劇場都市といわれる道頓堀の歴史や歌舞伎、文楽について学びながら体験することができるミュージアムです。
また、実際に演劇場としても開催していますので、何度行っても楽しめること間違いなしです。

大阪の観光スポットを探されている方はもちろんですが、歌舞伎や人形浄瑠璃に少し興味がある方、また歴史を詳しく知りたい方まで、「面白かった~」と楽しい時間を過ごせるミュージアムですので、ぜひ足を運んで素敵な思い出をつくってくださいね。