新型コロナウイルスによって、音楽コンサート・伝統芸能・演劇・ミュージカルといったイベントや公演の相次ぐ中止など、ほかの多くの分野と同じく深刻な影響が出ているライブ・エンターテイメント業界。
感染拡大で影響を受けた劇場文化の復興を願う「日本の劇場文化・復活祈願祭」が道頓堀川で開かれました。発起人の歌舞伎俳優・市川海老蔵さんや上方芸能の第一人者らが5隻の船に乗り込み、道頓堀川の水上から劇場文化復活のPRをしました。
この記事では、式典プログラムの様子をご紹介しています。
日本の劇場文化・復活祈願祭について
新型コロナウイルスによって、音楽コンサート・伝統芸能・演劇・ミュージカルといったイベントや公演の相次ぐ中止など、ほかの多くの分野と同じく深刻な影響が出ているライブ・エンターテイメント業界。
「新型コロナウイルス感染症によるライブ・エンターテイメント業界への影響」(ぴあ総研)のデータによると、2020年5月時点で、昨年の市場規模の推計約9,000億円のうち約77%にあたる累計6,900億円の損失が見込まれており、舞台に立つアーティストや役者はもちろん、公演やイベントを支える照明や舞台美術、音響など裏方の技術者も大きなダメージを受けているとのこと。
とりわけ歌舞伎をはじめとした日本の伝統的な芸能文化においては、3,000件以上の公演が中止となり公演ができなくなったことで、受け継いできた伝統芸能全体が存続の危機に面しているとのこと。
日本が世界に誇る伝統芸能をこれからも残していくために「withコロナ」の現在において十分な感染防止対策をしつつ「一刻も早く劇場ににぎわいを取り戻す」という劇場文化の再興を願い、発起人の歌舞伎俳優・市川海老蔵さんや上方芸能の第一人者らが船に乗り込み、江戸時代より芝居街として栄えた大阪ミナミ・道頓堀の中心を流れる道頓堀川の水上からプロモーションを行いました。
当日の式典プログラムの様子
会場:道頓堀川遊歩道 とんぼりリバーウォーク
11月3日(火)文化の日、秋晴れのなか行われた式典には、芸能文化の関係者や協賛各社、地域の協力関係者が船で登場しました。
なかでも紙吹雪とともに登場した市川海老蔵さんらが乗る演舞船では、創作舞踊「迦具土命之舞」(かぐつちのまい)が披露されました。
創作舞踊「迦具土之舞」は、日本最古の歴史書である古事記を取り上げ、須佐之男命(すさのおのみこと)が火の神、迦具土の力を借りて八岐大蛇(やまたのおろち)を退治するまでの物語を歌舞伎化した作品で、新型コロナウイルスの影響が続く中、伝統芸能の復活の火を灯したいという強い想いが込められています。
迫力ある演舞のあと道頓堀の戎橋やとんぼりリバーウォークに集まった観覧の人々に向け「日本の伝統文化、劇場文化をさらに愛してくださいますよう、よろしくお願いいたします」と口上を述べ力強くアピールしました。
続いて、人間国宝・能楽シテ方観世流 大槻文藏さんや、日本舞踊・上方舞 山村流六代目宗家 山村友五郎さんら上方芸能の重鎮や、OSK日本歌劇団トップスター桐生麻耶さん、NMB48、松竹芸能の漫才師アルミカンさんらが集まった観覧の人々に挨拶をし、手を振って拍手に応えていました。
最後には、市川海老蔵さんの挨拶とともに、市川ぼたんさん、堀越勸玄さんがご挨拶をし、会場は微笑ましい雰囲気に包まれました。
こうしたイベントが開催されるのも、大阪ミナミ・道頓堀ならではの風景ですね。
まとめ
大阪の文化が詰まった大阪ミナミ・道頓堀は、江戸時代より芝居街として栄え、2025年には道頓堀に劇場ができて400年という節目の年を迎えます。
2025年には万博も控え、国内外からも注目を集める道頓堀を舞台に行われた今回の式典では、公演ができない期間が続き、厳しい状況にありながらも伝統芸能の関係者らが復興に向けて力強いアピールを発信しました。
日本の劇場文化復活のきっかけになればと行われた今回のプロモーションには「最近こういったイベントも少なくなっていたので嬉しい」と沿道の観覧の方も嬉しそうにされていました。
各伝統芸能ではWithコロナ時代に沿ってオンライン配信など新しい取り組みにも挑戦しています。
会場に足を運ぶのはハードルが高いと思われる方も、オンラインであれば気軽に見られますので、この機会に歌舞伎をはじめとした古典芸能に触れていただき、ぜひ実際に劇場で観劇してみてください。
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