現在なんばを経由する新たな鉄道路線が建設中であることをご存知でしょうか?記憶に新しいところでは2009年に開業した阪神なんば線により、神戸方面へのアクセスがより便利になりました。
そして2031年には梅田があるキタエリアと、なんばを結ぶ「なにわ筋線」の開業が予定されています。新路線による新駅の建設によって、なんばを中心としたアクセスルートはどのような進化を遂げるのでしょうか?
気になる「なにわ筋線」のルートは?
梅田(キタ)からなんば(ミナミ)へのアクセスといえば地下鉄御堂筋線ですが、なにわ筋線は御堂筋より少し西側に位置します。JR大阪駅に隣接した地下の新駅(JR大阪駅と直結する北梅田駅(仮称)が建設中)から、なにわ筋の地下を通ってなんば方面と接続します。
なにわ筋線に乗り入れる西日本旅客鉄道株式会社(以下、JR西日本)はJR難波駅と接続、南海電気鉄道株式会社(以下、南海電鉄)はなんばエリアの地下に建設する新駅を経由して新今宮駅に接続、全長約7.2kmが建設される予定です。
大阪府や大阪市、JR西日本、南海電鉄の4者がなにわ筋線の建設に出資。主体はJR東西線建設時に設立された第三セクターの関西高速鉄道株式会社となっています。運営にあたってはJR西日本と南海電鉄それぞれが、線路など設備の使用料を支払う「上下分離方式」を採用して計画が進行中です。
途中の停車駅には「中之島」「西本町」「南海新難波駅」の3駅(いずれも仮称)を建設することが発表されています。中之島では京阪中之島線との乗り換えが可能となり、大阪東部(守口・寝屋川・門真方面)や京都方面からのアクセスもより便利になることが予想されます。
新しい駅はどこにできる?
南海新今宮駅とJR難波駅から「なにわ筋線」へと乗り入れる計画によって、開業後のなんばエリアは一体どのように変化するのでしょうか?現在の建設計画から読み解きながら予想したいと思います。
・南海なんば駅
髙島屋大阪店に直結した南海なんば駅は、南海電鉄を代表する巨大ターミナル駅です。大階段の先にある駅のホームには、見渡す限りでは北側(なにわ筋線方面)に延伸するスペースがありません。
そこで事業計画を確認してみると、なんば駅のひとつ手前にある新今宮駅から本線と分岐して地下へと入るルートが新設されるようです。
南海なんば駅のすぐ西側、駅直結の複合商業施設「なんばスカイオ」の目の前を通る阪神高速の地下を通り、御堂筋を横断した先にあるバスターミナル付近の地下に新駅を建設する予定となっています。
なにわ筋線の開業後は現在の南海なんば駅に加えて、新設される南海新難波駅(仮称)の2か所となります。既存路線や関西空港へのアクセスとして便利な特急ラピート号が、将来どのような運用になるのかといった点にも注目です。
南大阪や関西空港方面からはオフィス街の西本町、大阪国際会議場(グランキューブ大阪)やフェスティバルホールといったイベント会場がある中之島。さらに大阪(梅田)から新大阪への直通ルートによって、北摂エリアや大阪市中心部へのアクセスが飛躍的に向上。なんばを中心とした人の流れも期待されます。
なにわ筋線だけでなく、南海本線の沿線住民にとってもショッピングやイベント、ビジネスがより便利で快適になることでしょう。
・JR難波駅(OCAT)
奈良と大阪を結ぶJR大和路線の終着駅であるJR難波駅は、なにわ筋線との接続を想定して設計されており駅北側からの接続が可能です。
ホームも1番から4番のりば(2面4線)がすでに設定されており、将来は各路線のターミナル駅として機能すると考えられます。3番と4番のりばが上り方面として、なにわ筋線に乗り入れる運用が予想されます。
奈良方面や関西空港方面との直通運転が実現すれば、関西を代表する主要路線として注目されることでしょう。
またJR難波駅があるOCATには、日本各地へと向かう高速バスターミナルや地元住民にも利用されている大型の駐輪場も整備。今後なんばの西側エリアもより発展することが想定されます。
南海線とJR線はどこで合流するの?
新設される南海新難波駅(仮称)とJR難波駅は少し離れた場所にあるため、
なにわ筋線は西本町から南下した直後に分岐。JR線 と南海線のそれぞれに接続する計画です。
2021年10月からは本格的な工事がはじまり、JR難波駅付近(地下鉄四つ橋線26ーD出入口)ではトンネル工事が行なわれています。(2022年10月撮影)
現在の街並みからは想像できませんが、なにわ筋線の開業後は人の流れが大きく変化することでしょう。
新線開業に向けた取り組み
なにわ筋線の開業はもう少し先の話ですが、なんば駅周辺では早くも再開発の動きが活発になっています。
同時に南海電鉄が掲げる経営ビジョン「グレーターなんば」構想では、なにわ筋線の開業に向けて沿線地域のブラッシュアップを公表。なんばスカイオや南海ターミナルビルの近接エリアの充実、リノベーションにも積極的に取り組む方針です。
また南海なんば駅前を歩行者専用とする「なんばひろば改造計画 」では、南海電鉄だけでなく駅直結の髙島屋、駅前の戎橋筋商店街やなんさん通り商店街と連携して道路空間の再編にも着手しています。
なんば駅前の広場化となにわ筋線の開業によって、今後なんば駅前が観光のハブ拠点として活用され、国際集客都市としての発展が期待されています。
まとめ
なにわ筋線の開業に向けて沿線地域の再開発も活発になっています。なんば駅周辺に訪れた際は、地下で未来のまちづくり工事が行われていることを思い出してみてください。近い将来ミナミエリアはさらに便利になり、より身近で活気ある街へと進化することでしょう。
参考資料
大阪市:なにわ筋線について
JR西日本:なにわ筋線
関西高速鉄道株式会社:なにわ筋線について
関西を拠点に取材ライターとして活動中。
イベント取材やお店の魅力を紹介したり、コラム記事を書いたり。
足で稼いだ大阪ミナミのお役立ち情報を発信します!