社会実験「御堂筋チャレンジ2021」で新しい歩道空間を体験しよう

御堂筋チャレンジ2021

なんばから心斎橋にかけて御堂筋を歩いていると、車道を歩道にする工事が行われていることにお気づきでしょうか。いま大阪のメインストリート御堂筋では、道路における空間再編の動きが広がっています。その未来のカタチをつくる一環として、昨年に引き続いて社会実験「御堂筋チャレンジ2021」を実施。その気になる内容と、歩行者が主役となる次世代の道路空間について詳しく解説します。

目次

「御堂筋チャレンジ2021」の実施期間および区間等

2021年の社会実験では、御堂筋(なんばから心斎橋の区間)を主に4つの区画にわけて実施。約1ヵ月の期間にわたり歩行者の回遊状況だけでなく、自転車との分離効果や道路の管理状況についても検証します。

【実施期間】

令和3年11月3日(水曜日・祝日)から令和3年12月2日(木曜日)まで

【実施区間】

・モデル整備区間:なんば駅前から千日前通までの東西両側の歩道空間

・第2期整備区間:道頓堀川から千日前通までの東側の歩道空間

・心斎橋周辺区間:御堂筋大丸前交差点の北西部の歩道空間(心斎橋周辺)

御堂筋チャレンジ2021
モデル整備区間と第2期整備区間の概要

オープンカフェやレンタサイクルが気軽に利用できるなんば駅周辺

地下鉄・南海なんば駅から千日前通りに続く御堂筋(モデル整備区間)では、歩行者の滞留空間を作る取り組みが行われます。気軽に休憩できるベンチが等間隔に用意され、いつでも腰を据えて休憩できる人にやさしい空間に変貌。

御堂筋チャレンジ2021
なんばマルイ前に設置されたベンチスペース

おすすめスポットなどを案内してくれるデジタルサイネージも設置され、多くの人で行き交う歩道にもかかわらずゆったりした空間となっています。

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デジタルサイネージとベンチが併設

西側区間(ホテルロイヤルクラシック大阪側)では、沿道のテナントによるオープンカフェが期間限定でオープン。風を感じながら青空の下で楽しむティータイムは開放的で、歩行者が主役の道路空間ならではといえます。

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歩道の真ん中に設置されたカフェスペース
御堂筋チャレンジ2021
青空の下でティータイムを楽しめます

東側区間(なんばマルイ側)の歩道拡幅工事はほぼ完了しており、歩行者と自転車が分離された歩道としてすでに利用されています。その一画にはレンタサイクルのHUBchari(ハブチャリ)臨時ポートが登場。その場で自転車を借りて大阪市内に繰り出すこともできるので、小回りでの移動にも最適です。

御堂筋チャレンジ2021
赤い自転車でおなじみのレンタサイクル(HUBchari)

なんば周辺エリアでは同時開催されている社会実験も忘れずチェックしたいところ。南海ビルと東宝南街ビルの間(なんばマルイ横、通称カフェストリート)でも滞在中の快適性を図る社会実験が実施。御堂筋と交差する東西にも回遊性を高め、にぎわいをつなぐ試みです。ヨーロピアンなテイストの街並みで楽しむオープンカフェは、まさに海外にいるような気分にさせてくれます。

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御堂筋チャレンジ2021は沿道でも実施
御堂筋チャレンジ2021
趣のある建築が楽しめるのもオープンスペースならでは

ミナミの観光エリアや飲食店が立ち並ぶ道頓堀周辺

千日前通りと道頓堀川の中間に位置する御堂筋(第2期整備区間)は、一部の路面整備を残して東側(グリコサイン側)の歩道がほぼ完成。続いて西側の側道(緩速車線)が閉鎖されて工事中となっています。

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道頓堀川にかかる橋も歩道が拡幅されています

東側はすでに歩行者と自転車の通行帯に空間が再編され、広くなった歩道の滞留空間を検証。自転車と歩行者を分離するサイン付きベンチも設置されています。

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歩道と自転車通行帯の間にベンチを設置
御堂筋チャレンジ2021
地下鉄の出入口もガラス張りにリニューアル

キッチンカーやフラワーカーでにぎわう心斎橋周辺

御堂筋の空間再編は道頓堀より北側(心斎橋方面)にも延伸される予定です。すでに沿道には協議会が設置されており、今回の御堂筋チャレンジにあわせて一部区間でも社会実験が実施。その一環として御堂筋大丸前交差点の北西部(ホテル日航大阪前)の御堂筋(心斎橋周辺区間)には、キッチンカーやフラワーカーが出店されています。

御堂筋チャレンジ2021
キッチンカーとフラワーカーが歩道で営業中

歩道で飲食ができるよう木製カウンターを設置して、通行への影響やゴミ問題の解決方法を検証しています。テイクアウトしたメニューをいちょう並木の下で楽しめるので、心斎橋の中心に居ながら屋台のような雰囲気も楽しめますよ。

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木製カウンターを利用して飲食が楽しめます

同時開催の御堂筋関連のイベントも楽しもう

夜間(17時から23時)においては毎年恒例の御堂筋イルミネーションも開催中。なんばから梅田まで続くカラフルなLED照明は圧巻のスケール。もちろん御堂筋チャレンジの実施区間でもイルミネーションが点灯しているので、快適な歩行空間にいながら御堂筋の夜景を堪能できます。

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いちょう並木がライトアップされる御堂筋イルミネーション
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歩道のベンチも間接照明でライトアップ

11月13日と14日の週末には道頓堀リバーフェスティバルも開催されました。道頓堀川一帯では伝統芸能やお笑い、グルメやライブ、商店街界隈でもさまざまなイベントプログラムを用意。南北に通じる御堂筋チャレンジと、東西に流れる道頓堀川周辺で開催されたリバーフェスティバルのイベントも同時に楽しめる期間となりました。

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御堂筋に隣接した道頓堀川で開催されたリバーフェスティバル

大阪のシンボル「御堂筋」が目指す将来ビジョンとは

大阪中心部のメインストリートでもある御堂筋でも、人口減少の影響などで自動車の交通量も減少する傾向にあります。また深刻化している歩行者と自転車のトラブルや、沿道を活性化する課題など、今後の御堂筋のあり方について大阪市と国土交通省が検討する「御堂筋空間利用検討会 」が2009年に設置されました。

2014年には事業として具体化され、御堂筋の道路空間について大阪市から再編する案が公表。なんば駅前にほど近いエリアがモデル街区として位置づけられました。

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車道を廃止して歩道を拡幅しています

沿道の活性化に向けては、周辺の地権者やテナントによる「ミナミ御堂筋の会 」が設立。町会や商店街も参加して官民連携による事業がスタートし、2016年にはモデルとなる区間が整備されました。
2014年から数えて3回にわたり、道路整備と平行しての社会実験を実施。車線の減少による交通への影響、拡張した歩道での自転車通行やサインの検討、歩道内での休憩やイベントなどの取り組みが行われてきました。そして今回なんば駅前から道頓堀までの完成した区間一体で、今回の御堂筋チャレンジ2021が開催される運びとなったのです。

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ドライバーに向けて御堂筋チャレンジの開催をアナウンス

新たに創設された「ほこみち制度」による壮大な社会実験

2020年11月25日に成立した改正道路法では「歩行者利便増進道路」が新たに創設。通称「ほこみち制度」と呼ばれるもので、国土交通省から指定を受けた道路には特例の基準が認められることに。道路空間を街の活性化に利用するこができ、歩道にカフェやベンチといったゆったり滞在できる空間の活用が可能になりました。

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ほこみち制度により御堂筋が歩行者中心の空間に再編

このたび全国初の事例として大阪市の御堂筋をはじめ、神戸市の三宮中央通り、姫路市の大手筋の3都市での指定が決定。今後どのような取り組みが実施されるのか注目されます。

まとめ

このような社会実験にあわせて、対象の御堂筋エリアではさまざまイベントも開催されています。御堂筋の終点にほど近いエリア、南海なんば周辺では「なんばひろば改造計画 」が同年11月23日より開催。クルマ中心だった駅前広場のロータリーから、人が中心となる道路空間へと再編する社会実験も予定されています。いままで体験したことのない、まったく新しい歩行者中心の道路空間へと生まれ変わる、御堂筋にぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

2020年に開催された社会実験の模様はこちら

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