なんばエリアには数多くの商店街があり、そのなかでもなんばの中心部に位置する戎橋筋商店街(髙島屋大阪店からTSUTAYA EBISUBASHI間の約370m)は、歴史は古く、十日戎(とおかえびす)で有名な今宮戎(いまみやえびす)神社の参道として江戸時代に形成されました。
今日でもその賑わいは変わらず、約100店舗近いお店が軒を連ね、古くからのお店もたくさん残る歴史ある商店街です。

そんな商店街では、例年春と秋に、周辺地域の商いや街の魅力を普段できない体験を通じて知っていただき、また家族や知人との交流を楽しんでいただくことでなんばエリアのファンづくりにつなげる目的の体験型イベント「体験博」を開催しています。

この記事では、体験博のなかでも毎回人気の街歩きプログラムから、今回初企画の「なんばリノベ最新スポットを歩いてめぐる」をご紹介します。
道頓堀(どうとんぼり)川や御堂筋(みどうすじ)、大阪松竹座や髙島屋東別館をはじめ、大阪・なんば周辺の歴史あるスポットやリノベーションされた有名建築物をめぐります。
なんばの街を知り尽くしたガイドが案内してくれますので、各建築物の歴史や再生にあたりのエピソードなども詳しく聞くことができる、街好きにはたまらない企画です。
体験内容や様子はもちろん、実際に参加された方の感想を交えながらご紹介していますので、体験博が気になっている方はぜひ最後までご覧ください。

※消毒、換気、ソーシャルディスタンスの確保等、新型コロナウイルス感染症対策をしっかりと講じた上で、イベントを実施しています。

どんなプログラムなの?

リノベーションとは、既存の建物に大規模な工事を行うことで、建物全体の修理や修復をしたり、性能を良くしたりすることをいいます。
このプログラムでは、道頓堀川や御堂筋、大阪松竹座や髙島屋東別館をはじめ、リノベーションされたなんば周辺の歴史あるスポットや有名建築物をめぐります。
なんばの街を知り尽くしたガイドが、貴重な資料を使いながら案内してくれます。
当時の懐かしさを感じながらリノベーション後の魅力も知ることができ、復興・再生の物語にも触れることができる、街好きにはたまらないプログラムになっています。

コースは戎橋に集合後、戎橋架け替えの歴史や道頓堀川水辺再生のお話しでスタート。
道頓堀では大阪松竹座の改築の歴史、法善寺横丁では火災からの復興・再生をとげた秘話など、盛りだくさんの内容のお話をしながら街歩きします。
プログラムの最後には、世界的なサービスレジデンス「シタディーンなんば大阪」などが入る建物としてリノベーションされた「髙島屋東別館」に到着して終了です。

ガイドはなんばの街を知り尽くしたプロ

秋の体験博2020 リノベーション街歩き

戎橋筋商店街事務局長であり、大阪府立大学観光産業戦略研究所客員研究員の山本英夫さんが街歩きのガイドを務めます。

プログラムの様子

あいさつ・準備

秋の体験博2020 リノベーション街歩き

今回は、道頓堀川に架かる「戎橋(えびすばし)」が集合場所です。
あいにくの雨でしたが、参加者の方は「貴重な機会です」と、楽しみにしている様子でした。

まずは、戎橋筋商店街の理事長であり、商店街内にある創業約150年のミセスファッションを取り扱う「かわこ」の菊地オーナーの挨拶です。
戎橋筋商店街の歴史や体験博の説明、今回のプログラムの紹介をします。

その後、ガイドの山本さんにバトンタッチ。自己紹介と感染症対策の一環である「イヤホンガイド」の説明です。

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このイヤホンマイクは、参加者の方全員に1つずつに渡されます。
個包装にし、アルコール消毒していますので安心して装着することができ、屋外なら数10m程度離れていてもガイドの声が届くので飛沫対策にも最適です。

プログラムの紹介、イヤホンマイクの説明が終わり、街歩きスタートです。

歴史ある道頓堀川・戎橋からスタート

秋の体験博2020 リノベーション街歩き 秋の体験博2020 リノベーション街歩き

まずは、戎橋の上で「道頓堀(どうとんぼり)川」「戎橋(えびすばし)」のお話です。

道頓堀川は、江戸時代・大坂夏の陣が終わった1615年に完成した川です。
「道頓堀」の名前の由来にもなっている安井道頓(やすいどうとん)という人物が、自然の川を運河として整備し、開削されました。
また、戎橋も道頓堀川ができた頃につくられた歴史ある橋で、これまで15回にわたり大改修が行われ、今の戎橋が完成しました。

平成に入ったころ、大阪市や地元の方が一体になった大阪の都市魅力の向上を目指した「水の都・大阪」再生プロジェクトがスタート。道頓堀川の遊歩道「とんぼりリバーウォーク」の設置や、水質の改善など現在にいたるまでのさまざまな取り組みを、資料を使いながら紹介してくれます。

ネオ・ルネッサンス様式の大阪松竹座

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続いては、道頓堀川のほど近くにある大正12年(1923年)に関西初の洋式劇場として建てられた「大阪松竹座」です。

「大阪松竹座」のモデルとなったのは、イタリア・ミラノにあるスカラ座といわれています。ネオ・ルネッサンス様式の建築で、京都にある弥栄(やさか)会館・先斗町(ぽんとちょう)歌舞練場などを手掛けた、大林組の建築家・木村得三郎によって建設されました。
正面の大アーチは建設当時のまま今も残っています。

開館当時の様子から、リノベーションにあたり「なぜ正面の大アーチのみを残したのか?」「内装がどうなっているのか?」など、普段は聞けないエピソードが聞けるのも体験博ならではです。

現在は感染症対策の一環で、歌舞伎やミュージカルの公演を延期されているとのことですが、「大阪松竹座ステージ体験ツアー」という、実際にステージの上に立ち、憧れのスターと同じ景色を見ながら、花道など舞台設置を体験できるツアーも開催されています。
また、大阪松竹座の魅力や観劇の際の楽しみ方、各なんば駅からのアクセスなどを詳しく紹介した記事もありますので、ぜひ参考にしてくださいね。
関連記事/観劇がはじめての方も安心!大阪松竹座を徹底紹介

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道頓堀商店会を千日前通りに向かって歩き、大阪うどんで有名な老舗「道頓堀今井」の隣の路地を通ります。

横幅約1mしかないこの路地は「浮世小路(うきよこうじ)」と呼ばれ、大正から昭和初期にかけての道頓堀の街並みを再現した絵地図や、上方(かみかた)落語・吉本芸人などの大阪の芸能を中心にした展示物を見ることができます。

法善寺横丁の復興物語

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浮世小路を抜けると「法善寺横丁」に入ります。

法善寺横丁は大阪の人々に愛された飲食店街で、地元の方や観光に来られた方はもちろん、著名人も訪れる有名スポットです。
水掛不動尊で有名な「法善寺」の境内にある2つの通りの路地に並んだ参拝客相手の露店が、飲食店街として定着して「法善寺横丁」と呼ばれるようになりました。

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平成14年(2002年)9月と翌15年(2003年)4月に発生した法善寺横丁の火災は、法善寺全体や周辺の店舗にも大きな被害を与えました。

現在の建築基準法では店を建て直すために現状2.7mの路地幅を4m以上に広げなければならず、風情ある横丁の街並みの再建が危ぶまれました。
「どうやって横幅2.7mという路幅を守りながら復興したのか?」についてのエピソードには、参加者の方も頷かれている様子でした。

最初の火災から2年後の平成16年(2004年)9月9日には、法善寺の北側の路地に「慈悲地蔵尊(じひじぞうそん)」が建てられました。法善寺横丁の復興の際に寄せられた、多くの“慈悲”に対する感謝が詰まっているお地蔵さまです。
法善寺横丁の歴史を詳しく紹介した記事がありますので、興味のある方はぜひご覧くださいね。
関連記事/街の人に愛され続ける大阪・法善寺横丁の歴史を紹介

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法善寺横丁の復興物語が終わると、法善寺・水掛不動尊に向かいます。

24時間参拝できる珍しい寺院で、地元の方から愛されている場所です。
法善寺には水掛不動尊以外にも4つの諸堂がありますので、各諸堂のお参り方法やご利益、また法善寺の歴史も詳しく紹介している記事がありますので、ぜひこちらもチェックしてください。
ぶらっとなんば関連記事/https://ebisubashi-magazine.com/namba-hozenji/

戎橋筋商店街をぶらり街歩き

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法善寺を出ると戎橋筋商店街に入り、髙島屋方面に向かいます。

道中、戎橋筋商店街内でも老舗のひとつである創業約400年の「ナルミヤ戎橋画廊」、街歩きのはじめに挨拶した菊池オーナーがいるミセス専門セレクトショップ「かわこ」、また、かばん専門店の「ジャガーカバン店」のかばんの品数の多さや、豚まんで有名な「551蓬莱戎橋本店」の歴史、昭和27年創業の布地の総合デパート「とらや商店」が2020年12月20日に閉店するといったトークに、参加者の方は「なるほど~」「えっそうなの」「ためになる」など、個々に街歩きを楽しんでいる様子でした。

閉店する前にとらや商店に行きたい方は、ぜひこちらも要チェックです。
関連記事/【閉店情報あり】服地・布地のデパートとらや商店の秘密を徹底解剖

大阪新歌舞伎座の外観を完全復元

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戎橋筋商店街から御堂筋に抜けると、平成21年(2009年)に惜しまれつつ閉館した「大阪新歌舞伎座」跡に建つ、「ホテルロイヤルクラシック大阪」が見えてきます。

大阪新歌舞伎座のデザインは、そごう百貨店や志摩観光ホテルなどを設計した世界的に有名な建築家・村野藤吾(とうご)氏によるもので、跡地に建つホテルロイヤルクラシック大阪の外観には、村野藤吾氏がデザインした唐破風(からはふ:曲線を連ねた形状の破風板を屋根につけたもの)が復元されています。
ホテルロイヤルクラシック大阪のデザインを手掛けたのは、令和2年(2020年)東京オリンピック(※新型コロナウイルス感染症の影響により延期、令和3年(2021年) 開催予定)のメイン会場となる国際競技場のデザインを担当した建築家・隈研吾(くまけんご)氏で、リノベーションにあたりこだわったポイントや、世界的に有名な2人の建築家のエピソードなど資料を使い詳しく解説しました。

ホテルロイヤルクラシック大阪は日本の伝統と美しい自然光を感じながら結婚式ができる場所としても人気です。興味のある方はぜひこちらも参考にしてくださいね。
関連記事/大阪・新歌舞伎座跡にホテルロイヤルクラシック大阪がオープン

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続いて、御堂筋の紹介です。
約80年前に完成され、大阪在住の人であれば知らない人はいないほどのメインストリートです。
御堂筋は周辺の商店街や企業と大阪市が協力し、より良い道路にするために何度も社会実験を行っており、現在も大阪万博2025に向けてさまざまな取り組みをしているエピソードを話しながら南海難波駅の方向に向かいます。

ロケット広場があった南海ターミナルビル

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なんばの中心に位置する「南海ターミナルビル」の紹介です。
通勤通学で利用される方が多い南海線や大阪メトロ線などの各なんば駅や、関西を地盤とする大手百貨店・大阪髙島屋をはじめ、スイスホテル南海大阪、なんばスカイオ、なんばCITYなどの商業施設が連なる日本有数の巨大複合施設です。

なんばの待ち合わせ場所としても有名だったロケット広場や、南海難波駅前で行われた「なんばひろば改造計画」の際に行われた社会実験の様子、今まで3度にわたり大改修が行われた時の様子など、ここでしか聞けないエピソードを詳しく紹介しました。

大阪市立精華(せいか)小学校メモリアルルーム

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南海ターミナルビルを右手にエディオンなんば本店正面入り口を横切り、裏側の大阪府立精華小学校のメモリアルルームがある正面玄関に案内します。

元々この場所は122年続いた大阪府立精華小学校があった場所ですが、平成7年(1995年)大阪市立南小学校との統合により閉校となりました。
現在は、地元の人々の強い気持ちもあり、エディオンなんば本店の東側の一部に、精華小学校のファサード(建物の正面)のデザインを受け継ぎメモリアルルームとして再建されました。
入口にあるパネルには「戦時中の炎にも負けることなく立派に残り続けた文化的存在の建物を、また精華小学校のおもかげを残したい」という強い思いが書かれています。

太平洋戦争でも焼失しなかった建築物のつくりについてのエピソードを聞きながら、参加者の方は理解を深めている様子でした。

秋の体験博2020 リノベーション街歩き

精華小学校を後に、千日前商店街を通り裏なんばに向かいます。

「裏なんば」は、北は千日前から南はなんさん通りまで、東は黒門市場から西の髙島屋周辺までのエリアをさします。老舗の小料理屋や個性的なバー、B級グルメなどが軒を連ねており、飲み歩きスポットとしても有名です。

裏なんばの発祥秘話やおすすめのお店を紹介しながら、日本橋方面に街歩きします。

髙島屋東別館・史料館で街歩き終了

秋の体験博2020 リノベーション街歩き

裏なんばを抜け日本橋を通り、今回の街歩きツアーの終点、髙島屋東別館・史料館に到着です。

髙島屋史料館は、昭和のはじめに松坂屋大阪店として建設された歴史的な建物で、登録有形文化財に指定されています。欧米の歴史模式であり、欧米ではクライスラー・ビルディングやマイアミの街並みでよく使われているアール・デコ調の装飾デザインが取り入れられています。
その意匠を活かしながら、世界的なサービスレジデンス「シタディーンなんば大阪」などが入る建物としてリノベーションされました。

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令和2年(2020年)にリニューアルオープンした3階「髙島屋史料館」は、今年で開館50周年を迎えます。館内には、髙島屋創業当時の資料や美術品、創業家文書など約5万点収蔵しています。

今回のプログラムはここで終了し、参加者の方は個々に髙島屋史料館へ向かいました。

まとめ

今回は、体験博でも毎年人気の街歩きプログラムから、初企画「なんばリノベ最新スポットを歩いてめぐる」をご紹介しました。
記事で紹介した、道頓堀(どうとんぼり)川や御堂筋(みどうすじ)など、リノベーションされたなんば周辺の有名スポットをめぐりながら、各建築物の歴史や再生物語も詳しく聞くことができますので、大阪の街が好きな方はもちろん、有名な建築物やリノベーションに興味がある方、また大阪の歴史を知りたい方まで楽しめる企画になっています。

今回のプログラムは次回開催されるか未定ですが、気になる方は次回の体験博・街歩きのプログラムをぜひチェックしてみてくださいね。

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